第113回医師国家試験 D33(2019年)
正答:e
問題
6歳の男児。落ち着きのなさを心配した父親に連れられて来院した。在胎38週、出生体重3,422 gで仮死なく出生した。乳幼児期の発達には明らかな遅れを指摘されたことはない。現在幼稚園の年長組であるが、集団での移動中に興味があるものに気を取られて飛び出してしまうことが時々ある。順番待ちが苦手で、順番を守れずに同じクラスの子どもとけんかになることがある。また、先生の話をじっと聞いていることができず、勝手に部屋を出ていくこともある。怒られると感情を爆発させ、手を出してしまうこともある。しかし、落ち着いているときは会話も上手にでき、自分の名前をひらがなで書くことができる。人懐っこく、集団での遊びが好きである。神経診察を含む身体所見に明らかな異常を認めない。
父親への説明として適切なのはどれか。
a.「危険を防ぐため行動を制限しましょう」
b.「家庭でもっと厳しくしつけをしましょう」
c.「まず症状を抑えるお薬を内服しましょう」
d.「特に問題はないので通院の必要はありません」
e.「完璧を求めすぎず自信を失わせないよう配慮しましょう」
正答の理由
不注意・多動・衝動性によって園生活に支障があり、注意欠如・多動症〈ADHD〉などを念頭に、家庭を含む複数の場面で評価します。失敗を繰り返し叱責されると自信を失いやすいため、できた行動を具体的に認め、見通しのよい環境や一貫した分かりやすいルールで支援します。親のしつけ不足と決めつけたり、評価前から一律に薬物療法を開始したりする説明は適切ではありません。
各選択肢の検討
a.誤り。危険への対策は必要ですが、行動全般を制限するのではなく、安全な環境調整と具体的な支援を行います。
b.誤り。厳しいしつけだけで解決する問題と決めつけず、特性を理解して関わります。
c.誤り。薬物療法を検討する場合もありますが、まず評価・説明・環境調整などを行い、困難の程度に応じて判断します。
d.誤り。集団生活への支障と危険な飛び出しがあり、評価と継続した支援が必要です。
e.正しい。過度な要求や叱責を避け、達成しやすい目標と肯定的な関わりで自己評価を守ります。
覚えるポイント
多動・衝動性の支援では、叱責の強化より環境調整・明確なルール・肯定的な関わり。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。