第112回医師国家試験 E40(2018年)
正答:b
問題
52歳の男性。突然の心停止のため救急車で搬入された。マラソン競技大会で走行中に突然倒れ、直後から呼びかけに反応なく、呼吸もなかった。現場で大会救護員が胸骨圧迫を開始し、AEDによる音声指示でショックを1回施行した。救急隊到着時の意識レベルはJCSⅢ-300。頸動脈の拍動は触知可能であった。救命救急センター搬入時の意識レベルはGCS6。心拍数96/分(洞調律)。血圧108/72 mmHg。呼吸数24/分。SpO2 100 %(リザーバー付マスク10 L/分酸素投与下)。
脳保護のために行うべき治療はどれか。
a.人工過換気
b.体温管理療法
c.静脈麻酔薬投与
d.高浸透圧利尿薬投与
e.副腎皮質ステロイド投与
正答の理由
心拍は再開しているがGCS6で意識が回復しておらず、心停止後脳障害への対策が必要である。選択肢では、計画的な体温管理が適切である。現在のAHA2025では、指示に反応しない成人に32〜37.5℃の範囲で体温を管理することを勧めており、全例を一律に低体温へ冷却するという意味ではない。酸素化・換気・循環の適正化と発熱防止も重要となる。
各選択肢の検討
a.過換気による低二酸化炭素血症は脳血流を減少させ得るため、脳保護目的で常用しない。
b.正しい。心拍再開後も昏睡が続く患者では、発熱を防ぐ計画的な体温管理を行う。
c.人工呼吸中の鎮静などに用いる場合はあるが、単独で脳保護の標準治療となるわけではない。
d.頭蓋内圧亢進などの適応を評価して用いる薬であり、この患者に一律に投与する治療ではない。
e.心停止後脳障害の脳保護目的で、ステロイドを一律に投与することはしない。
覚えるポイント
心拍再開後の昏睡では、体温・酸素化・換気・循環を計画的に管理する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。