第112回医師国家試験 D52(2018年)
正答:d
問題
78歳の女性。左股関節痛のため救急車で搬入された。本日朝、正座をしていて立ち上がろうとしたときに、バランスを崩して転倒し、痛みのため歩行不能となった。8か月前に左変形性股関節症に対する左人工股関節全置換術を受け、術後経過は良好で、股関節に痛みを感じることなく歩行できていた。既往歴に特記すべきことはない。左股関節は屈曲、内転、内旋位をとっている。血液生化学所見に異常を認めない。股関節のエックス線写真(別冊No.26)を別に示す。
初期対応として適切なのはどれか。
a.関節造影
b.関節穿刺
c.左下肢のギプス固定
d.左股関節の徒手整復
e.左下肢の持続鋼線牽引

正答の理由
人工骨頭が寛骨臼側のカップから外れており、人工股関節の脱臼です。屈曲・内転・内旋位は後方脱臼に合う肢位です。まず神経・血流障害と骨折の有無を評価し、適切な鎮痛・鎮静と筋弛緩のもとで慎重に徒手整復を行います。整復後にも画像と神経血管所見、安定性を確認します。
画像の見方
左の人工骨頭が寛骨臼側カップの外に位置し、人工股関節脱臼を認めます。前後方向の確定は正面像だけに頼らず、内旋・内転・屈曲という肢位や追加画像と合わせます。
各選択肢の検討
a.誤り。単純エックス線で脱臼が確認できており、関節造影を先行する必要はありません。
b.誤り。感染性関節炎の診断等で行いますが、今回の脱臼の初期処置ではありません。
c.誤り。脱臼を残したままギプス固定する処置は適切ではありません。
d.正しい。骨折等の整復を妨げる条件を確認して、鎮痛・鎮静下で整復します。無理な操作は避けます。
e.誤り。整復を遅らせて持続牽引を先行する状況ではありません。徒手整復不能例は整形外科で次の治療を検討します。
覚えるポイント
人工股関節脱臼では、骨折・神経血管所見を確認して鎮痛・鎮静下に整復する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。