第112回医師国家試験 D25(2018年)
正答:c
問題
65歳の男性。人間ドックの腹部超音波検査で異常を指摘されたため受診した。腹部は平坦、軟で、自発痛と圧痛とを認めない。
血液所見:赤血球480万、Hb 15.8 g/dL、Ht 46 %、白血球6,800、血小板24万。血液生化学所見:アルブミン4.3 g/dL、AST 32 U/L、ALT 40 U/L、LD 180 U/L(基準176〜353)、ALP 212 U/L(基準115〜359)、γ-GTP 40 U/L(基準8〜50)、アミラーゼ73 U/L(基準37〜160)、CEA 3.2 ng/mL(基準5.0以下)、CA19-9 14 U/mL(基準37以下)。CRP 0.2 mg/dL。腹部造影CT(別冊No.11A)とMRCP(別冊No.11B)とを別に示す。
病変の質的診断を行うため次に行うべき検査はどれか。
a.腹腔鏡検査
b.腹腔動脈造影
c.超音波内視鏡検査
d.下部消化管内視鏡検査
e.内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉

正答の理由
CT・MRCPで膵内の多房性嚢胞性病変を認め、分枝型IPMNなどを考えます。質的診断では嚢胞の内部構造、隔壁や壁在結節、膵管との関係を詳しく観察する超音波内視鏡〈EUS〉が適します。嚢胞があることだけで悪性と確定せず、画像所見・大きさ・経時変化等を合わせて治療方針を判断します。
画像の見方
Aでは膵内に低吸収の嚢胞性病変、Bでは膵管に沿って小嚢胞が集まるような高信号域を認めます。IPMNなどを考え、EUSで内部の結節や隔壁をさらに評価します。これらの画像だけで悪性とは確定しません。
各選択肢の検討
a.まず行う非侵襲的・低侵襲的な画像評価を飛ばし、診断目的の腹腔鏡を選びません。
b.血管の評価が中心であり、嚢胞内部を詳しく調べる検査としてはEUSが適しています。
c.正しい。胃・十二指腸から膵に近接し、嚢胞壁・隔壁・結節などを高解像度で観察できます。
d.大腸の検査であり、膵嚢胞性病変の質的診断を目的に選ぶ検査ではありません。
e.必要に応じた膵管評価等には用いますが、膵炎などの偶発症もあり、嚢胞の詳細観察の最初の追加検査としてはEUSが適切です。
覚えるポイント
CT・MRCPで見つかった膵嚢胞の内部構造・壁在結節はEUSで詳しく評価する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。