中枢神経原発B細胞リンパ腫と高用量メトトレキサート|第112回医師国家試験A40

第112回医師国家試験 A40(2018年)

正答:e

問題

67歳の男性。右上下肢の脱力を主訴に来院した。2週間前から右手で車のドアを開けることができない、歩行時に右足を引きずるなどの症状が徐々に進行したため受診した。

意識レベルはJCSⅠ-3。体温36.2 ℃。脈拍72/分、整。血圧142/80 mmHg。呼吸数16/分。右片麻痺を認める。頭部造影MRI(別冊No.16A)及び定位的脳生検術によって左前頭葉病変から採取した組織のH-E染色標本(別冊No.16B)と抗CD20抗体による免疫組織染色標本(別冊No.16C)とを別に示す。FDG-PETでは脳以外に異常集積を認めない。

治療として適切なのはどれか。

a.抗菌薬投与

b.開頭腫瘍摘出術

c.アシクロビル投与

d.定位的放射線治療

e.大量メトトレキサート療法

右の方向表示を伴い左前頭葉深部に造影腫瘤を認めるMRI
頭部造影MRI(別冊No.16A) / 出典:厚生労働省・第112回A別冊(原本の該当ページ)
Bは血管周囲にも密に増殖する異型リンパ球様細胞、Cは細胞の褐色のCD20陽性染色
脳生検H-E染色・抗CD20免疫染色(別冊No.16B、C) / 出典:厚生労働省・第112回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

造影される脳内腫瘤から採取した組織に異型リンパ球様細胞が増殖し、B細胞マーカーのCD20が陽性です。脳外の病変も示されておらず、中枢神経原発B細胞リンパ腫を考えます。標準的な初回治療の基盤は、血液脳関門を越える高用量メトトレキサートを含む化学療法です。併用薬や地固め療法は年齢、全身状態、腎機能などで選びます。

画像の見方

Aでは左前頭葉深部の強く造影される腫瘤が目立ちます。Bでは異型リンパ球様細胞が密に増殖し、Cでは細胞がCD20で褐色に染まっています。B細胞性のリンパ腫を支持する組合せです。

各選択肢の検討

a.細菌性脳膿瘍への治療であり、CD20陽性の腫瘍性リンパ球増殖には適合しません。

b.組織診断は重要ですが、広範な摘出が初回治療の基本となる腫瘍ではありません。選択された症例での手術の役割と、通常の薬物治療を区別します。

c.単純ヘルペス脳炎などへの治療で、提示された腫瘍組織には対応しません。

d.限局した病変の局所照射だけを本疾患の標準的初回治療としません。脳内に広がる疾患として全体の治療戦略が必要です。

e.正しい。高用量メトトレキサートを基盤とする化学療法を選びます。

覚えるポイント

CD20陽性の中枢神経原発リンパ腫は、高用量メトトレキサートを基盤に治療。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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