上顎癌治療後に生じた頬部腫脹と再発の評価|第112回医師国家試験A35

第112回医師国家試験 A35(2018年)

正答:b

問題

68歳の男性。右頰部の腫脹を主訴に来院した。1年半前に右上顎癌と診断され、上顎部分切除術と放射線治療とを行い腫瘍は消失した。2週間前から右頰部が腫脹し、軽度の疼痛と違和感とを自覚した。これまでに副鼻腔炎の既往はない。喫煙は20本/日を48年間。飲酒は機会飲酒。

身長165 cm、体重48 kg。体温36.8 ℃。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球430万、白血球7,800、血小板15万。CRP 0.5 mg/dL。顔面の写真(別冊No.13A)及び頭部MRIの水平断像(別冊No.13B)と冠状断像(別冊No.13C)とを別に示す。

最も考えられるのはどれか。

a.丹毒

b.上顎癌再発

c.急性副鼻腔炎

d.放射線皮膚炎

e.術後性上顎囊胞

右頬部の腫脹と発赤、小さな皮膚欠損を伴う顔面写真
顔面写真(別冊No.13A) / 出典:厚生労働省・第112回A別冊(原本の該当ページ)
B水平断とC冠状断で右上顎術部から頬部へ広がる軟部組織病変
頭部MRI水平断像・冠状断像(別冊No.13B、C) / 出典:厚生労働省・第112回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

上顎癌の治療後1年半で同側頬部に新たな腫脹が現れ、MRIでも術部から頬部にかけて軟部組織の増大が見られます。高熱や強い炎症反応はなく、単純な感染や液体貯留より上顎癌再発を優先します。画像だけで再発を病理学的に確定するわけではなく、実臨床では診察、生検と再病期評価が必要です。

画像の見方

Aでは右頬部の腫脹・発赤を認めます。B、Cでは右上顎の術後変化と、同部から頬部へ広がる軟部組織の増大が見られ、均一な液体だけの嚢胞とは異なります。癌の既往を踏まえて再発を疑いますが、確定には組織評価が必要です。

各選択肢の検討

a.丹毒は皮膚の急性感染症で発赤・熱感などを来しますが、癌治療部の腫瘤状軟部組織を含む本例の説明としては再発を優先します。

b.正しい。癌治療後の同側頬部腫脹と術部の軟部組織病変から最も疑います。

c.急性副鼻腔炎では鼻症状、疼痛や炎症所見を伴うことが多く、本例の治療歴と腫瘤状病変からは再発を優先します。

d.照射部の皮膚障害だけでは、MRIで見られる深部の軟部組織増大を十分に説明できません。

e.術後性上顎嚢胞は鑑別ですが、副鼻腔手術から長期間を経て現れることが多く、本例では充実性病変と癌再発を優先して評価します。

覚えるポイント

頭頸部癌治療後の新しい腫脹は、再発を疑い画像と組織で再評価。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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