第111回医師国家試験 H28(2017年)
正答:d
問題
62 歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。1か月前に呼吸困難が出現し、増強してきた。喫煙は 30 本/日を 40 年間。体温 36.4 °C。脈拍 104/分、整。血圧 132/86 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 92 %(room air)。心音に異常を認めない。呼吸時に胸郭の動きに左右差を認める。左胸部の打診は濁音を呈し、聴診では左肺の呼吸音が減弱している。
考えられるのはどれか。
a.気胸
b.肺炎
c.肺気腫
d.無気肺
e.肺塞栓
正答の理由
左胸部の動きの低下、濁音、呼吸音減弱から、肺への含気・換気が低下する無気肺が選択肢では最も合います。気道閉塞などの原因を胸部画像で調べます。喫煙歴は気道腫瘍を考える手掛かりですが、肺癌と確定はできません。胸水も同様の診察所見を呈し得るため、実際は画像で鑑別します。
各選択肢の検討
a.誤り。気胸でも呼吸音は減弱しますが、典型的には打診で過共鳴となり、濁音とは合いません。
b.誤り。肺炎でも濁音を来し得ますが、発熱や湿性ラ音・気管支呼吸音などを参考にします。本例の片側の動きの低下と呼吸音減弱は無気肺をより示唆します。
c.誤り。典型的には過膨張と過共鳴を示し、片側の濁音が中心の本例とは合いません。
d.正しい。含気の低下と換気低下により、濁音、呼吸音減弱、胸郭運動の低下を来し得ます。
e.誤り。呼吸困難や低酸素血症は起こりますが、本例の局所的な濁音・呼吸音減弱を最もよく説明する肢ではありません。これらだけで肺塞栓を完全に除外する意味ではありません。
覚えるポイント
濁音+呼吸音減弱では無気肺や胸水を考え、気胸の過共鳴と区別。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。