第111回医師国家試験 H19(2017年)
正答:e
問題
体液平衡の指標について誤っているのはどれか。
a.eGFR は筋肉量の影響を受ける。
b.高ナトリウム血症は水分不足を意味する。
c.血清尿酸値の推移は水分状態の良い指標である。
d.血清尿素窒素〈BUN〉値は蛋白異化の影響を受ける。
e.血清 Na 値と Cl 値の差の開大は代謝性アルカローシスと判断できる。
正答の理由
Na−Clの差だけでは代謝性アルカローシスと確定できません。Kを含めないアニオンギャップをAG=Na−(Cl+HCO₃⁻)とすれば、Na−Cl=HCO₃⁻+AGです。差の開大はHCO₃⁻の増加だけでなくAGの増加でも起こり、AG開大性代謝性アシドーシスでもみられます。pH、HCO₃⁻、PaCO₂、AG、アルブミンなどを併せて判断します。
各選択肢の検討
a.正しい。通常の血清クレアチニンに基づくeGFRは、クレアチニン産生に関わる筋肉量の影響を受けます。シスタチンCに基づく推算とは区別します。
b.正しい。本問ではNa量に対する相対的な水分不足を意味します。循環血液量の減少や体内Na総量の不足と同義ではなく、Na負荷でも高Na血症は起こります。
c.正しい。尿酸の再吸収・排泄は体液状態の影響を受け、その推移は参考になります。ただし腎機能、薬剤、食事などにも左右されるため、単独で水分量を決定する指標ではありません。
d.正しい。尿素は蛋白の分解に由来し、BUNは蛋白異化、摂取量、腎機能、循環・水分状態などの影響を受けます。
e.誤り。Na−Cl差にはHCO₃⁻とAGの両方が反映されます。差の開大のみから代謝性アルカローシスと断定できません。
覚えるポイント
Na−Cl=HCO₃⁻+AG。差の開大だけでアルカローシスとは決めない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第111回医師国家試験問題および正答
- NIDDK:Clinical Measurements and eGFR Accuracy
- MedlinePlus:Anion Gap Blood Test
- MedlinePlus:BUN blood test
- Liamisら2007:利尿薬関連低Na血症と尿酸(原著要旨)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。