第111回医師国家試験 D45(2017年)
正答:d
問題
45歳の男性。喀痰を主訴に来院した。1年前から茶褐色の細長い粘稠な痰をしばしば喀出するようになった。小児期から喘息で治療中である。胸部エックス線写真の正面像(別冊No.21A)と側面像(別冊No.21B)及び肺野条件の胸部CT(別冊No.21C)を別に示す。
この疾患について誤っているのはどれか。
a.血清IgE値は高値を示す。
b.末梢血で好酸球増多を示す。
c.移動性の肺浸潤影を呈する。
d.喀痰培養で抗酸菌が検出される。
e.第一選択の治療薬は経口副腎皮質ステロイドである。


正答の理由
喘息、褐色の粘液栓の喀出、気管支拡張と粘液栓を示す画像からABPAを考えます。Aspergillusへのアレルギー反応による疾患であり、抗酸菌の検出を特徴とする疾患ではありません。2017年の正答はdです。現行ISHAM推奨では急性ABPAの初期治療に経口プレドニゾロンまたはイトラコナゾール単剤を選択できます。
画像の見方
胸部X線で索状・分枝状の陰影、CTで気管支拡張と粘液栓を示す陰影を認めます。症例の喘息・褐色痰と合わせABPAを考えます。
各選択肢の検討
a.正しい。血清総IgE高値は診断上重要です。
b.正しい。末梢血好酸球増多は診断を支持しますが、治療の影響などで目立たない場合もあります。
c.正しい。一過性・移動性の浸潤影は特徴的な所見の一つです。
d.誤り。抗酸菌の検出はABPAの特徴ではありません。抗酸菌症の合併が絶対にないという意味ではありません。
e.出題時は正しい選択肢です。経口ステロイドは現在も初期治療の選択肢ですが、現行推奨ではイトラコナゾール単剤も選べ、唯一の第一選択と一般化しません。
覚えるポイント
喘息+褐色粘液栓+気管支拡張ではABPA。現行治療はステロイド以外の初期選択もある。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第111回医師国家試験問題および正答
- Revised ISHAM-ABPA working group clinical practice guidelines(2024)、Diagnosis・Treatment
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。