第111回医師国家試験 D19(2017年)
正答:a・b・e
問題
放射線治療について正しいのはどれか。3つ選べ。
a.乳房温存術後には予防照射を行う。
b.陽子線はブラッグピークを形成する。
c.低酸素状態の癌は放射線感受性が高い。
d.I-131内用療法は前立腺癌に用いられる。
e.粒子線治療では主に陽子線が用いられる。
正答の理由
乳房温存術後には局所再発を抑える術後照射を基本とします。陽子線は一定の深さで線量が最大となるブラッグピークを利用し、粒子線治療の主要な方法です。一方、低酸素細胞は一般にX線などに抵抗性であり、I-131内用療法の代表的な対象はヨウ素を取り込む甲状腺疾患です。
各選択肢の検討
a.正しい。残存し得る病変に対する照射で局所再発を減らします。ただし、高齢・早期・ホルモン受容体陽性などの条件を満たし内分泌療法を行う症例では、局所再発リスクの増加を理解したうえで省略を検討する場合があります。
b.正しい。陽子が停止する付近でエネルギー付与が増す性質を利用し、腫瘍へ線量を集中させます。
c.誤り。酸素は放射線による細胞傷害を増強するため、低酸素状態では一般にX線などに対する感受性が低下します。放射線の種類によって酸素の影響の程度は異なります。
d.誤り。I-131は主に甲状腺疾患で用いられます。前立腺癌で用いる他の核種や密封小線源と混同しません。
e.正しい。陽子線は広く用いられる粒子線治療です。炭素イオン線による重粒子線治療もあり、粒子線のすべてが陽子線という意味ではありません。
覚えるポイント
乳房温存術後照射、陽子線のブラッグピーク、低酸素による放射線抵抗性、I-131と甲状腺を対応させる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第111回医師国家試験問題および正答
- NCI PDQ:乳房温存術後照射と低リスク例での省略
- 国立がん研究センター:粒子線治療とブラッグピーク
- 出水ら:粒子線治療・陽子線と炭素イオン線(2012)
- IAEA:Radiation Biology(2010)、酸素効果、PDF物理101〜102頁
- NCI PDQ:甲状腺癌の放射性ヨウ素療法
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。