第111回医師国家試験 A40(2017年)
正答:e
問題
52歳の男性。前胸部痛のため救急車で搬入された。排便時に突然、前胸部痛が出現し気分が悪くなったため救急車を要請した。高血圧を指摘されていたがそのままにしていた。心拍数84/分、整。血圧80/50mmHg。呼吸数24/分。SpO₂は測定不能である。四肢末梢の著明な冷感を認める。胸部エックス線写真(別冊No.15A)と胸部CT(別冊No.15B)とを別に示す。
この患者の所見として考えにくいのはどれか。
a.心音の減弱
b.頸静脈怒張
c.下腿浮腫
d.奇脈
e.遅脈


正答の理由
突然の胸痛とショックに加え、CTで上行大動脈の拡大・壁の高吸収域と心囊液を認め、急性大動脈病変に伴う血性心囊液・心タンポナーデを考えます。奇脈は吸気時の収縮期血圧低下が増大する所見です。遅脈は脈の立ち上がりが遅いことで、徐脈とは区別します。
画像の見方
胸部単純写真の縦隔陰影と、CTの上行大動脈拡大・壁に沿う高吸収域、心周囲の液体貯留に注目します。この像だけで明瞭な内膜フラップまで断定しません。
各選択肢の検討
a.心囊液により心音が減弱し得ます。
b.右房への還流障害で頸静脈圧が上昇し得ます。
c.静脈うっ血によりみられ得ます。ただし急性発症のタンポナーデで必ず下腿浮腫が出るわけではありません。
d.吸気時に収縮期血圧が大きく低下する奇脈は、心タンポナーデに合う所見です。
e.正答です。遅脈は大動脈弁狭窄などでみられ、心タンポナーデの典型的な脈波所見ではありません。
覚えるポイント
奇脈と遅脈は別の所見。急性胸痛・ショック・心囊液では大動脈疾患も評価する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。