第111回医師国家試験 A21(2017年)
正答:d
問題
31歳の女性。1回経妊0回経産婦。胞状奇胎の治療後に妊娠反応陽性が持続するため紹介されて来院した。1年前から不妊外来で排卵誘発薬の投与を受けていた。3か月前に妊娠反応陽性となったが、全胞状奇胎と診断され2回の子宮内容除去術を受けた。基礎体温は1相性である。内診で子宮はやや腫大、軟。超音波検査で後壁筋層内に血流豊富な径1.5cmの腫瘤を認める。脳、肝、腎臓および腟に異常を認めない。血清hCGの推移(別冊No.2A)と肺野条件の胸部CT(別冊No.2B)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。
a.手術療法
b.放射線療法
c.ホルモン療法
d.抗癌化学療法
e.分子標的薬投与


正答の理由
胞状奇胎除去後もhCGが陰性化せず再上昇し、子宮筋層内病変と肺結節を認めるため、肺転移を伴う絨毛性腫瘍を考えます。全身治療として抗癌化学療法を行い、病期・リスクを評価して薬剤を選択します。画像とhCGだけで侵入奇胎と絨毛癌の組織型を確定することは避けます。
画像の見方
hCGは子宮内容除去後に低下しますが、陰性化せず5週以降に再上昇しています。胸部CTには両肺に末梢優位の結節があり、子宮筋層内病変と合わせ肺転移を伴う絨毛性腫瘍を疑います。結節の個数や組織型をこの提示断面だけで確定しません。
各選択肢の検討
a.誤り。手術を用いる場合もありますが、肺転移を疑う本例の基本治療として手術単独を選びません。
b.誤り。脳転移等で局所照射を検討することはありますが、提示例の第一選択ではありません。
c.誤り。排卵誘発歴があっても、現在の病変にホルモン療法を行うわけではありません。
d.正しい。絨毛性腫瘍は抗癌化学療法への感受性が高く、全身病変を治療します。
e.誤り。選択肢中の第一選択は標準的な抗癌化学療法であり、分子標的薬を初めに選ぶ状況ではありません。
覚えるポイント
胞状奇胎後のhCG遷延・再上昇では絨毛性腫瘍を評価する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。