第111回医師国家試験 A4(2017年)
正答:e
問題
我が国の体外受精について正しいのはどれか。
a.1周期当たりの出産率は約70%である。
b.凍結胚の妊娠率は新鮮胚の妊娠率の約半分である。
c.体外受精による出生は全出生児の約10%を占める。
d.卵管閉塞は卵細胞質内精子注入法〈ICSI〉の適応である。
e.1周期につき1つの胚を移植することが推奨されている。
正答の理由
多胎妊娠による母児のリスクを減らすため、胚移植では原則として単一胚移植を行います。治療成績は年齢や分母が採卵周期・治療周期・移植周期のどれかによって変わります。出生割合を問うcは2017年の出題当時の統計で評価する肢であり、その後増加したART出生割合と混同しないことが重要です。
各選択肢の検討
a.1周期の出産率を一律70%とはできません。妊娠率と出産率、治療周期と移植周期を区別します。
b.国内登録研究では凍結胚移植の妊娠率が新鮮胚移植の約半分という結果ではありません。年齢・症例選択も考慮します。
c.出題当時は約10%より低い割合でした。割合は年々変化するため、現在の数値をこの肢へそのまま当てはめません。
d.卵管閉塞に対しては体外受精で卵管を迂回できます。ICSIは主に高度男性因子や受精障害などで検討し、卵管閉塞のみを理由としません。
e.正しい。原則は単一胚移植です。年齢・反復不成功などで複数胚を検討する例外とは区別します。
覚えるポイント
ARTは多胎回避のため原則単一胚移植。統計では年度と分母を確認する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第111回医師国家試験問題および正答
- 日本産科婦人科学会:2015年ART登録公開集計
- 国内ART登録原著:凍結・新鮮移植の妊娠率と単一胚移植
- 日本哺乳動物卵子学会誌:選択的単一胚移植と多胎リスク
- ASRM:男性因子以外のICSI適応に関する委員会意見2026
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。