第110回医師国家試験 G9(2016年)
正答:e
問題
9 机に頭をぶつけて泣き止まないため2歳の男児が母親に連れられて深夜の救急外来を受診した。頭部に皮下血腫を認めず、受傷後のけいれん、嘔吐や意識障害は確認されていない。患児の栄養状態、活動性は良好で来院時は泣きやみ、神経学的所見に異常を認めない。母親から「心配なのでCTを撮ってほしい」と依頼された。 この時点での母親への説明として適切なのはどれか。
a.「先に頭部エックス線写真を撮りましょう」
b.「ご希望ですので、すぐにCTを撮りましょう」
c.「被ばくがあるのでCTではなくMRIを撮りましょう」
d.「診断精度を高めるため造影剤を注射しながらCTを撮りましょう」
e.「受傷状況や診察所見から現時点でCTを撮る必要はないと判断します」
正答の理由
この児は受傷後の意識障害、けいれん、嘔吐、頭皮血腫、神経所見異常がなく、診察時の状態も良好です。低リスク児に頭部CTを一律に行うと不要な放射線被ばくを伴うため、現時点ではCT不要と説明するのが適切です。
各選択肢の検討
a.単純X線は頭蓋内損傷の評価に適した代替検査ではなく、先行撮影を勧める根拠がありません。
b.保護者の希望だけでCTを行うと、必要性が乏しい放射線被ばくを生じるため不適切です。
c.小児の頭部外傷でCT適応がある場合、MRIを単純に代替とすることはできず、急性評価の遅れや鎮静の問題もあります。
d.頭蓋内出血の初期評価に造影CTは通常不要で、造影剤をルーチンに投与する理由はありません。
e.臨床所見から頭部CT適応がなく、不要な被ばくを避ける説明として適切です。正答です。
覚えるポイント
小児頭部外傷は年齢別リスク所見を評価し、低リスクならCTを避ける。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第110回医師国家試験問題および正答
- Kuppermann et al. Identification of children at very low risk of clinically-important brain injuries after head trauma. Lancet. 2009;374:1160–70.
- CDC: Pediatric Mild Traumatic Brain Injury Guideline Recommendations
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。