第108回医師国家試験 H29(2014年)
正答:e
問題
29 70歳の男性。腹膜炎の手術後で入院中である。2週前にS状結腸憩室の穿孔による急性汎発性腹膜炎にて緊急手術を施行された。手術術式はS状結腸切除術・人工肛門造設術であった。術後の経過は良好で、術後7日目に流動食を開始し、術後8日目にはドレーンの排液の性状に問題がなかったためドレーンは抜去した。現在は中心静脈栄養を併用しながら5分粥食を全量摂取している。術後4日目以降発熱を認めなかったが、昨夜急に悪寒戦慄を伴う39 ℃の発熱があった。他に症状はなく食欲も保たれている。
対応として適切なのはどれか。
a.絶飲食
b.便培養検査
c.緊急開腹手術
d.ドレーン再挿入
e.中心静脈カテーテル抜去
正答の理由
術後経過が安定していた患者に、中心静脈カテーテルを留置している状態で悪寒戦慄を伴う高熱が急に出現し、ほかに感染巣を示す症状がありません。カテーテル関連血流感染を疑い、選択肢ではカテーテル抜去が適切です。実臨床では抜去の要否を感染源・重症度と照合し、抗菌薬投与前の血液培養などで評価します。発熱だけを理由に機械的に抜去することは推奨されません。
各選択肢の検討
a.絶飲食:腹部所見や消化管症状に乏しく、絶飲食は発熱の原因評価になりません。
b.便培養検査:下痢や腸管感染を示す症状がなく、第一に選ぶ検査ではありません。
c.緊急開腹手術:腹膜炎再燃や腹部所見がなく、緊急手術の根拠がありません。
d.ドレーン再挿入:ドレーン抜去後の排液異常や腹腔内感染を示す情報がありません。
e.中心静脈カテーテル抜去:中心静脈カテーテル留置中の悪寒戦慄を伴う原因不明の高熱で、カテーテル血流感染を疑います。正答です。実際には血液培養を含む評価と臨床状況に基づき抜去を判断します。
覚えるポイント
中心静脈カテーテル留置中の悪寒戦慄と原因不明の高熱では、血流感染を疑い、血液培養を含めて評価する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第108回医師国家試験問題および正答
- 厚生労働省「第108回医師国家試験 H問題」
- 厚生労働省「第108回医師国家試験 正答値表」
- Guidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。