第108回医師国家試験 A48(2014年)
正答:b
問題
48 75 歳の女性。左手関節部の腫脹と疼痛を主訴に来院した。歩行中につまずき左手をついて転倒したとのことである。手関節部以外に外傷はなく、他に治療中の疾患はない。手関節部から手指まで高度の腫脹を認めた。来院時のエックス線写真(別冊 No. 21)にて骨折を認めた。伝達麻酔下に徒手整復し手関節屈曲尺屈位で良好な整復位が得られ、その位置で肘上から手指までのギプス固定を行った。消炎鎮痛薬を処方し帰宅させたが、6 時間後に手指の腫脹が進行し指尖が暗紫色となり消炎鎮痛薬が無効な強い疼痛を訴えて受診した。
対応として最も適切なのはどれか。
a.患肢挙上
b.ギプス除去
c.オピオイド投与
d.ウロキナーゼ投与
e.星状神経節ブロック

正答の理由
整復・ギプス固定後に進行する腫脹、暗紫色の指尖、鎮痛薬が効かない強い疼痛は、固定による急性コンパートメント症候群を疑う所見です。外部圧迫を直ちに解除するため、まずギプスを除去します。
各選択肢の検討
a.誤り。患肢挙上だけではギプスによる圧迫を解除できません。コンパートメント症候群が疑われる場合、過度な挙上で灌流を損なうことも避けます。
b.正しい。ギプスを直ちに除去して外部圧迫を解除し、症状が残れば緊急筋膜切開を検討します。
c.誤り。オピオイドは痛みを軽減してもコンパートメント内圧を下げず、診断・処置を遅らせる危険があります。
d.誤り。ウロキナーゼは線溶薬で、ギプス下の圧上昇や筋区画の虚血を解除しません。
e.誤り。星状神経節ブロックは末梢虚血の原因である外部圧迫を解除せず、初期対応ではありません。
覚えるポイント
ギプス固定後に増悪する強い疼痛・腫脹・末梢循環障害では、まず固定を外し、改善しなければ緊急減圧します。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第108回医師国家試験問題および正答
- Best practice guidelines for emergency surgical care in disaster situations: Compartment Syndrome
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。