無脈性心室頻拍への対応|第107回医師国家試験I76

第107回医師国家試験 I76(2013年)

正答:a・d

問題

72歳の男性。2日前に急性心筋梗塞のため入院し、緊急の経皮的冠動脈インターベンションを受けた。術後の経過は良好であり、今朝は食事を全量摂取した。午前中に冠動脈疾患集中治療室〈CCU〉から一般病棟に移る予定であった。主治医の回診時、脈拍92/分、整、血圧128/72 mmHg、SpO2 98 %(room air)であった。主治医と会話中に患者が突然胸部不快感を訴え、その直後に意識を消失した。呼びかけに反応がなく、頸動脈の拍動を触知しない。この時のモニター心電図(別冊No. 27)を別に示す。

直ちに行うべきなのはどれか。2つ選べ。

a.胸骨圧迫

b.リドカインの静脈内投与

c.体外式ペースメーカの留置

d.電気的除細動(電気ショック)

e.緊急冠動脈インターベンション

モニター心電図。幅の広いQRS波が規則正しく高頻度で連続する単形性の波形。下に1秒のスケールバー
別冊No. 27 / 出典:厚生労働省・第107回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

急性心筋梗塞後2日目に突然意識を消失し、頸動脈拍動を触れず、モニター心電図は幅広いQRSが規則的に高頻度で続く心室頻拍です。無脈性心室頻拍は心室細動と同じく電気ショックの適応となる心停止で、直ちに胸骨圧迫を開始し、除細動器が使用可能になり次第、非同期の電気ショックを行い、すぐに胸骨圧迫を再開します。

画像の見方

幅広いQRSが同一形態で規則的に連続し、1秒のスケール内に約3〜4拍あり、心拍数はおよそ200〜240/分と推定される単形性心室頻拍の波形(独立レビューで再判読)。

各選択肢の検討

a.正しい。脈の触れない心停止なので、ただちに質の高い胸骨圧迫を開始します。

b.誤り。リドカイン(またはアミオダロン)は除細動を繰り返しても持続する難治性のVF/無脈性VTに用いる抗不整脈薬で、電気ショックより先に行う処置ではありません。

c.誤り。体外式ペースメーカは高度房室ブロックなど症候性徐脈を補う治療です。無脈性VTは心室細動と同様に非同期の電気ショックで停止させるべき頻拍性の心停止で、ペーシングの適応ではありません。

d.正しい。無脈性心室頻拍は電気ショックの適応で、目撃された心停止では早期の除細動が自己心拍再開の鍵となります。

e.誤り。再梗塞の評価として冠動脈造影・インターベンションを検討するのは自己心拍再開後で、心停止の初期対応として直ちに行うものではありません。

覚えるポイント

脈のないVT/VFは心停止。胸骨圧迫+早期の電気ショック。抗不整脈薬は難治例、ペーシングは徐脈用。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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