大腿骨近位部骨折|第107回医師国家試験I66

第107回医師国家試験 I66(2013年)

正答:d

問題

74歳の女性。右股関節部の運動痛と起立不能とを主訴に来院した。本日、自宅玄関の段差につまずいて転倒し、動けないところを家族が発見し救急外来を受診した。昨日までは手押し車を押して近所まで買い物に行くことが可能であった。意識は清明。右下肢以外の自動運動は可能である。座位では疼痛は少ないが、右股関節を内外旋させると疼痛が強い。支えても立位をとることはできない。四肢反射の亢進はなく、感覚障害を認めない。両股関節エックス線写真(別冊No. 21)を別に示す。

診断はどれか。

a.恥骨骨折

b.腸骨骨折

c.股関節脱臼

d.大腿骨近位部骨折

e.大腿骨転子下骨折

両股関節エックス線正面像(原本は横向き掲載のため正位に回転)。画像左側(患者の右側)の大腿骨頸部が短縮し、骨頭下に骨皮質の途絶がみられる
別冊No. 21 / 出典:厚生労働省・第107回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

骨粗鬆症の好発年齢の高齢女性が立位からの転倒(低エネルギー外傷)後に起立不能となり、股関節の他動的な内外旋で疼痛が増強しています。エックス線で右大腿骨頸部の短縮と皮質の途絶を認め、大腿骨近位部骨折(頸部骨折)と診断します。股関節を回旋させて痛みが増すことは関節外の病変との鑑別に役立ちます。

画像の見方

別冊物理頁29は横向き掲載のため回転して確認。画像左側(患者右側)の大腿骨頸部は対側に比べ短縮し、骨頭直下で骨皮質の連続性が途絶している。恥骨・腸骨の明らかな骨折線、骨頭の臼蓋外への逸脱、転子下の骨折線は指摘しにくい(独立レビューで再読影し同意。公式所見はない)。

各選択肢の検討

a.誤り。恥骨(恥骨枝)骨折も高齢者の転倒で起こりますが、写真で恥骨枝に骨折線はなく、股関節の回旋痛と起立不能を伴う頸部の変形の説明になりません。

b.誤り。腸骨骨折は側方からの強い外力などで起こり、写真で腸骨翼に骨折線は認めません。

c.誤り。股関節脱臼の多くはダッシュボード損傷のような高エネルギー外傷による後方脱臼で、骨頭が臼蓋から逸脱します。写真では骨頭は臼蓋内にあります。

d.正しい。転倒後の起立不能・股関節回旋時痛と、右大腿骨頸部の短縮・皮質途絶から大腿骨近位部骨折です。

e.誤り。転子下骨折は小転子より遠位の骨幹近位部の骨折で、写真では転子下に骨折線はなく、異常は頸部にあります。

覚えるポイント

高齢者の転倒後の起立不能+股関節回旋痛は大腿骨近位部(頸部・転子部)骨折を疑う。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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