第107回医師国家試験 I58(2013年)
正答:c
問題
50歳の男性。健康診断の腹部超音波検査で胆囊内に5 mm前後の隆起性病変を2個指摘されたため来院した。既往歴に特記すべきことはない。腹部超音波像(別冊No. 17)を別に示す。
隆起性病変への対応として適切なのはどれか。
a.胆囊摘出術を行う。
b.検査・治療・経過観察は行わない。
c.腹部超音波検査による経過観察を行う。
d.内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉を行う。
e.ポジトロンエミッション断層撮影〈PET〉を行う。

正答の理由
5 mm前後の小さな隆起が多発し、音響陰影を伴わない高エコー結節で、コレステロールポリープなどの良性病変が最も考えやすい像です。10 mm以上や増大・症状があれば胆囊摘出の適応ですが、5 mm前後なら手術は不要で、腹部超音波による経過観察を行います。ESGARなどの2022年共同ガイドラインは、5 mm以下で悪性化危険因子(60歳超、原発性硬化性胆管炎、アジア系、無茎性)がなければ経過観察不要とする一方、危険因子があれば6か月・1年・2年後の超音波フォローを推奨しています。日本人(アジア系)の本例は後者に当たり、公式正答cと一致します。
画像の見方
胆囊内腔の左寄りの壁と右寄りの壁から、それぞれ数mm大の類円形の高エコー結節が内腔へ突出している。結節の後方に音響陰影はなく、体位で移動する結石とは異なる隆起性病変と読める。壁の肥厚や大きな腫瘤はない。
各選択肢の検討
a.誤り。胆囊摘出術は10 mm以上のポリープ、経過観察中の増大、胆囊由来の症状がある場合などに行います。5 mm前後の無症状のポリープは適応ではありません。
b.誤り。現行の欧州共同ガイドラインでは危険因子のない5 mm以下のポリープは経過観察不要とされますが、アジア系は危険因子に含まれ、本例では超音波での経過観察が推奨されます。
c.正しい。小さな胆囊ポリープは腹部超音波で大きさの変化を追い、10 mmに達するなど増大すれば摘出を検討します。
d.誤り。ERCPは十二指腸から胆管・膵管を造影する侵襲的な検査で、胆囊ポリープの評価には用いません。ガイドラインは一次評価を腹部超音波とし、他の画像検査のルーチン使用を推奨していません。
e.誤り。PETは胆囊壁肥厚の良悪性鑑別に関する小規模な研究がある程度で、小さな胆囊ポリープの評価にルーチンで行う検査ではありません。
覚えるポイント
胆囊ポリープは10 mm以上で摘出、それ未満は超音波で経過観察(5 mm以下でも危険因子があればフォロー)。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- Foley KG, et al. Management and follow-up of gallbladder polyps: updated joint guidelines between the ESGAR, EAES, EFISDS and ESGE. Eur Radiol. 2022;32(5):3358-68
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。