滲出性中耳炎とB型ティンパノグラム|第107回医師国家試験I49

第107回医師国家試験 I49(2013年)

正答:d

問題

3歳の男児。急性中耳炎に罹患後、聞き返しが多くなった。インピーダンスオージオメトリの結果(別冊No. 11)を別に示す。

考えられるのはどれか。

a.鼓膜炎

b.慢性中耳炎

c.悪性外耳道炎

d.滲出性中耳炎

e.真珠腫性中耳炎

ティンパノグラム。横軸は外耳道圧(daPa、-400〜+200)、縦軸はコンプライアンス(ml、0〜1.0)。曲線は全域で約0.1 ml以下にとどまり、明らかなピークがない平坦な形
別冊No. 11 / 出典:厚生労働省・第107回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

急性中耳炎の後から聞き返し(難聴)が目立ち、ティンパノグラムはピークを欠く平坦なB型です。中耳腔に滲出液が貯留して鼓膜が動かなくなった滲出性中耳炎を考えます。滲出性中耳炎は小児で急性中耳炎の炎症が治まった後に滲出液が残って起こりやすく、耳痛や発熱を伴わず難聴・耳閉感が主症状です。多くは数週で自然消退しますが、長引けば鼓膜切開・換気チューブ留置を検討します。

画像の見方

コンプライアンス曲線は-400 daPa側で約0.1 ml、そこから+100 daPa付近の0へ緩やかに下がるだけで、0 daPa付近にもどこにもピークを形成しない。ピークのない平坦型(B型)ティンパノグラムで、鼓膜の可動性が失われている(中耳腔の液体貯留など)ことを示す。

各選択肢の検討

a.誤り。鼓膜炎は鼓膜そのものの炎症で水疱(ブラ)を形成し、強い耳痛を伴うことが多い病態です。痛みの記載がなく、聞き返しだけが続く経過と平坦型ティンパノグラムを第一に説明するものではありません。

b.誤り。慢性(化膿性)中耳炎は鼓膜穿孔から6週間以上耳漏が続く状態で、無痛性耳漏と伝音難聴を示します。本例には耳漏や穿孔の記載がなく、急性中耳炎後の液体貯留で自然に説明できます。

c.誤り。悪性外耳道炎は高齢者・糖尿病・免疫不全患者に多い緑膿菌などによる外耳道感染で、側頭骨骨髄炎へ進展します。基礎疾患のない3歳児の急性中耳炎後の難聴には合いません。

d.正しい。急性中耳炎後に中耳腔へ滲出液が残ると鼓膜の可動性が低下し、ティンパノグラムはB型(平坦型)となって伝音難聴を来します。

e.誤り。真珠腫性中耳炎は角化扁平上皮が中耳・上鼓室に堆積して骨を破壊する疾患で、耳漏や白色の角化物を伴います。急性中耳炎直後から始まった聞き返しとB型所見には、滲出液の貯留がより考えやすいです。

覚えるポイント

急性中耳炎後の難聴+B型(平坦型)ティンパノグラム=滲出性中耳炎。A型は正常、C型は中耳の陰圧。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第107回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました