頸髄の髄内病変|第107回医師国家試験I32

第107回医師国家試験 I32(2013年)

正答:b・c

問題

四肢の脱力と感覚障害とを訴える患者の頸椎MRIのT2強調矢状断像(別冊No. 6)を別に示す。

考えられるのはどれか。2つ選べ。

a.髄膜腫

b.神経膠腫

c.視神経脊髄炎

d.脊柱管狭窄症

e.椎間板ヘルニア

頸椎MRI T2強調矢状断像(上端にH、下端にFの表示とスケール)。上位から中位頸髄にかけて、脊髄が複数椎体の長さにわたって軽度腫大し、髄内に縦に長い信号変化がみられる。椎間板や骨棘による前後方向からの脊髄圧迫はない
別冊No. 6 / 出典:厚生労働省・第107回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

頸髄そのものが複数椎体の長さにわたって腫大し、髄内に縦長の信号変化があり、脊髄を外から圧迫する構造(椎間板・骨棘・髄外腫瘤)はありません。したがって髄内病変を考えます。髄内腫瘍の代表は神経膠腫(上衣腫・星細胞腫)で、脊髄を圧排せずに浸潤・腫大させ、多椎体に及ぶことがあります。視神経脊髄炎(NMOSD)は3椎体以上に連続する長大な横断性脊髄炎が特徴で、同様の像を呈します。

画像の見方

No. 6は頸椎T2強調矢状断像(頭側H・尾側F、下端にスケール)。上位〜中位頸椎レベルで頸髄がやや太く、髄内に複数椎体の長さにわたる縦長の信号変化がある。脊柱管は保たれ、椎間板の突出や骨棘、髄外腫瘤による脊髄の圧排はみられない(図の解像度からの判読で、信号変化の正確な上下端は断定しない)。

各選択肢の検討

a.髄膜腫。誤り。脊髄髄膜腫は硬膜内髄外腫瘍で、髄外から脊髄を圧排する境界明瞭な腫瘤として描出されます。本像のような髄内の長い病変ではありません。

b.神経膠腫。正しい。上衣腫や低悪性度星細胞腫などの神経膠腫は最も多い髄内腫瘍で、脊髄を腫大させ多椎体に及ぶことがあります。

c.視神経脊髄炎。正しい。3椎体以上に連続する長大な脊髄病変(longitudinally extensive transverse myelitis)が特徴で、多発性硬化症の短い病変との鑑別点です。

d.脊柱管狭窄症。誤り。骨棘や黄色靱帯肥厚などで脊柱管が狭くなり脊髄が外から圧迫される病態で、本像では脊柱管の狭窄や圧迫所見がありません。

e.椎間板ヘルニア。誤り。髄核が後方の硬膜外腔に脱出して脊髄や神経根を圧迫する病態で、本像では椎間板の突出による圧迫はみられません。

覚えるポイント

脊髄が太くなる髄内病変は髄内腫瘍(上衣腫・星細胞腫)と脊髄炎(NMOSDは3椎体以上の長大病変)。髄膜腫は髄外、狭窄症・ヘルニアは外からの圧迫。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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