第107回医師国家試験 H16(2013年)
正答:a
問題
造血幹細胞移植で使用する陽圧に保たれた無菌室の模式図(別冊No. 4)を別に示す。一般病室とは扉Ⅰと扉Ⅱとで隔てられており、ベッドの頭側の壁には空気清浄器の供給口が設置されている。ベッドと扉Ⅱとの間には透明なビニールカーテンがあり、カーテン越しに患者の観察や会話が可能である。
感染防御の点から、医師が立つ位置として好ましくないのはどれか。
a.①
b.②
c.③
d.④
e.⑤

正答の理由
造血幹細胞移植患者を収容する防護環境(protective environment)では、HEPAフィルターを通した清浄な空気を部屋の一方から供給し、反対側から排気する一方向の気流をつくり、室内を廊下より陽圧に保ちます。本図では気流供給口がベッドの頭側の壁にあり、清浄な空気はまず患者の頭部(顔)に当たってから足側・扉側へ流れます。①は供給口と患者の頭部の間、つまり気流の上流に立つ位置なので、医師から出る飛沫・粒子が清浄気流に乗って患者の顔に直接運ばれてしまいます。
画像の見方
上壁中央に気流供給口(下向き矢印)。その直下、患者の頭のすぐ上(供給口と頭部の間)に①。ベッドの右側に②、ベッドの足側に③。ベッドの左側に上下に走るビニールカーテン(波線)があり、カーテンの外側(左側)の下方・扉Ⅱ付近に④、上方の隅に⑤。さらに外側に扉Ⅰのある前室がある。
各選択肢の検討
a.正しい(好ましくない)。①は気流供給口と患者の頭部の間(上流)で、医師由来の飛沫や粒子が清浄気流に乗って患者に直接届くため、感染防御上最も不適切な位置です。
b.誤り(好ましい)。②はベッドの側方・患者より下流側で、気流は患者側から医師側へ流れるため、医師由来の粒子は患者に向かいにくい位置です。
c.誤り(好ましい)。③はベッドの足側の下流で、患者を汚染しにくい位置です。
d.誤り(好ましい)。④はビニールカーテンの外側(扉Ⅱ側)で、カーテン越しに観察や会話ができ、患者と空間的に隔てられています。
e.誤り(好ましい)。⑤もビニールカーテンの外側で、患者と直接空気を共有しにくい位置です。
覚えるポイント
無菌室(防護環境)は清浄空気を一方向に流し陽圧に保つ。医療者は気流の上流(供給口と患者の間)に立たない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- Guidelines for Preventing Infectious Complications among Hematopoietic Cell Transplantation Recipients: A Global Perspective
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。