第107回医師国家試験 D3(2013年)
正答:a
問題
腹部造影CT(別冊No. 1A)、腹部造影CT冠状断像(別冊No. 1B)及び摘出された胆囊標本の写真(別冊No. 1C)を別に示す。
診断として最も考えられるのはどれか。
a.胆囊癌
b.胆囊腺筋症
c.急性壊疽性胆囊炎
d.過形成性ポリープ
e.コレステロールポリープ



正答の理由
造影CTで胆囊内腔を占める不均一に造影される充実性腫瘤があり、冠状断でも肝下面の胆囊の位置に分葉状の大きな腫瘤がみられます。摘出標本では胆囊の一端に、定規の目盛りで約6〜7 cmにわたる乳頭状・結節状の不整な腫瘤が隆起しており、出血・壊死様の暗赤色部を伴います。1 cmを大きく超える不整な充実性腫瘤であり、胆囊癌と考えられます。
画像の見方
造影CT横断像・冠状断像で胆囊内腔に内部不均一に造影される充実性腫瘤があり、壁から内腔へ突出している。結石様の高吸収は目立たない。摘出標本では胆囊の一端(底部側と考えられる)に、定規の目盛りで約6〜7 cmにわたる分葉状・乳頭状の腫瘤があり、暗赤色の出血・壊死様部分を伴う。残りの粘膜は平滑ではなく細顆粒状。
各選択肢の検討
a.胆囊癌。正しい。大きく不整な、内部不均一に造影される充実性腫瘤は胆囊癌(腺癌)の典型像です。
b.胆囊腺筋症。誤り。胆囊腺筋症は壁内のRokitansky-Aschoff洞が増生して壁がびまん性・限局性に肥厚する病変で、内腔に突出する大きな不整腫瘤は作りません。
c.急性壊疽性胆囊炎。誤り。急性壊疽性胆囊炎は急性胆囊炎が進行して胆囊壁が壊死に陥る重篤な合併症(高熱・腹膜刺激症状などを伴う)で、標本のような内腔へ隆起する分葉状・乳頭状の充実性腫瘤を形成する病変ではありません。
d.過形成性ポリープ。誤り。過形成性ポリープは胆囊粘膜の良性の小さな隆起性病変で、数cmに及ぶ不均一に造影される分葉状腫瘤にはなりません(偽ポリープのうち炎症性ポリープも小型・均一とされます)。
e.コレステロールポリープ。誤り。コレステロールポリープは多発する1 cm未満の小隆起(壁に付着する桑実状病変)で、造影される大きな充実性腫瘤とは異なります。
覚えるポイント
胆囊の1 cmを超える不整な充実性腫瘤は胆囊癌を考える。コレステロールポリープは多発・小型。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- Gallbladder polyps and adenomyomatosis
- MSD Manual Professional Edition: Tumors of the Gallbladder and Bile Ducts
- MSD Manual Professional Edition: Acute Cholecystitis
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。