第107回医師国家試験 B2(2013年)
正答:d
問題
消化管内視鏡像(別冊No. 1 ①〜⑤)を別に示す。
内視鏡的粘膜下層剝離術の適応となるのはどれか。
a.①
b.②
c.③
d.④
e.⑤

正答の理由
ESDはリンパ節転移の可能性が極めて低く一括切除できる病変が対象で、胃癌治療ガイドラインでは潰瘍所見のない(UL0)分化型の粘膜内癌(cT1a)が標準的な適応です。④は潰瘍やひだ集中を伴わない小さな平坦隆起型病変で早期胃癌としてESDの適応になります。(出題当時の版では2 cm以下が絶対適応、2 cm超などは適応拡大病変として扱われ、2021年版で2 cm超のUL0分化型cT1aもESDの絶対適応となりました。)
画像の見方
④胃前庭部では、平坦〜軽度隆起した発赤調の小病変(一部に小結節)を認め、潰瘍や周囲のひだ集中を伴わず、粘膜内にとどまる早期胃癌(0-Ⅱa型相当)として矛盾しません。①食道下部は内腔に突出する潰瘍を伴う不整な隆起性腫瘍、⑤S状結腸は内腔を占拠する潰瘍を伴う隆起性腫瘍で、いずれも進行癌の像です。②胃体部はひだが集中し先端が腫大・癒合しており深部浸潤を疑う所見、③胃体部は厚い白苔に覆われた円形の開放性潰瘍です。各病変の個別診断は公式には示されておらず、作成者の読影です。
各選択肢の検討
a.①。誤り。食道下部の潰瘍を伴う大きな隆起性腫瘍で進行癌の像であり、リンパ節転移の可能性が高く手術や化学放射線療法の対象です。
b.②。誤り。ひだ集中の先端が腫大・癒合しており粘膜下層深部以深への浸潤を疑う所見で、内視鏡治療の適応外です。
c.③。誤り。白苔に覆われた円形の開放性潰瘍で良性の消化性潰瘍の像であり、生検で悪性を否定したうえで酸分泌抑制薬などの内科治療を行います。
d.④。正しい。潰瘍所見のない小さな平坦隆起型の早期胃癌で、粘膜内にとどまると考えられESDで一括切除できる病変です。
e.⑤。誤り。S状結腸の内腔を占める潰瘍を伴う隆起性腫瘍で進行大腸癌の像であり、リンパ節郭清を伴う外科切除の対象です。
覚えるポイント
胃ESDの絶対適応の基本は「UL0・分化型・cT1a(粘膜内癌)」。潰瘍・ひだ集中の先端異常・内腔占拠は内視鏡治療の対象外。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- Japanese Gastric Cancer Treatment Guidelines 2021 (6th edition)
- MSD Manual Professional Edition: Peptic Ulcer Disease
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。