急性心膜炎の治療|第107回医師国家試験A33

第107回医師国家試験 A33(2013年)

正答:d

問題

50歳の男性。胸痛を主訴に来院した。数日前から風邪気味であったが、昨日から左前胸部痛が出現した。痛みは数時間続くことがあり、深吸気時と仰臥位とで増強する。意識は清明。身長170 cm、体重67 kg。体温36.9℃。脈拍84/分、整。血圧140/84 mmHg。聴診で収縮期と拡張期とに高調な心雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。血液所見:赤血球456万、Hb 14.5 g/dl、Ht 44%、白血球8,900、血小板20万。CRP 4.5 mg/dl。胸部エックス線写真に異常を認めない。心電図(別冊No. 12)を別に示す。心エコー検査では左室の拡大はなく壁運動に異常を認めないが、左室後壁の背側にエコーフリースペースをわずかに認める。

治療薬として適切なのはどれか。

a.免疫抑制薬

b.カルシウム拮抗薬

c.アンジオテンシン変換酵素阻害薬

d.非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉

e.t-PA〈組織プラスミノゲンアクチベーター〉

12誘導心電図。Ⅰ、Ⅱ、V2〜V6を中心とする広範な誘導で下に凸のST上昇を認め、aVRではST低下を示す
別冊No. 12 / 出典:厚生労働省・第107回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

感冒様症状に続く胸痛が深吸気と仰臥位で増強し、収縮期と拡張期の高調な摩擦音(心膜摩擦音)、広範な誘導の凹型ST上昇、壁運動異常のない少量の心膜液貯留から、ウイルス性(特発性)急性心膜炎です。第一選択はアスピリンなどのNSAIDsで、現在はコルヒチン併用が推奨されています。

画像の見方

特定の冠動脈支配に一致しない広範な誘導(Ⅰ、Ⅱ、V2〜V6を中心に、aVFにも軽度)で下に凸のST上昇があり、aVRはST低下。Ⅲの対側性ST低下や異常Q波は目立たない。

各選択肢の検討

a.誤り。免疫抑制薬(副腎皮質ステロイドを含む)は膠原病に伴う例や難治・再発例で検討する薬で、初回の特発性心膜炎の第一選択ではありません。

b.誤り。カルシウム拮抗薬は冠攣縮性狭心症や高血圧に用いる薬で、心膜の炎症は改善しません。

c.誤り。ACE阻害薬は心不全や高血圧の治療薬で、急性心膜炎の痛みや炎症に対する治療ではありません。

d.正しい。急性心膜炎の痛みと炎症にはNSAIDs(アスピリン、イブプロフェンなど)を用い、通常コルヒチンを併用します。

e.誤り。広範なST上昇を心筋梗塞と誤ってt-PAを投与すると心膜腔内出血(心タンポナーデ)の危険があり、禁忌です。

覚えるポイント

体位・呼吸で変わる胸痛+心膜摩擦音+広範な凹型ST上昇は急性心膜炎、治療はNSAIDs+コルヒチン。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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