第106回医師国家試験 I78(2012年)
正答:a・e
問題
48歳の男性。不眠を主訴に来院した。6か月前に自ら望んで転職し、当初は順調であったが、2か月前からは気分の落ち込みと作業能力の低下とを自覚していた。
最近の1か月は転職したことを後悔して食事も摂れなくなり、不眠が次第に悪化してきたという。本日会社を早退し、自宅で遺書を用意していたところを妻に発見され受診した。
現時点の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
a.できるだけ早く休息をとらせる。
b.現在の職場を辞めるように勧める。
c.自殺を計画したことをとがめる。
d.自殺について触れないようにする。
e.治療が必要な病気であることを説明する。
正答の理由
抑うつ症状に加えて遺書を準備しており、自殺切迫リスクの緊急評価・安全確保が必要である。直ちに休息・保護的環境を確保し、本人を独りにせず精神科治療につなげる。同時にうつ病は治療を要する病気であることを説明し、本人と家族を支援する。
各選択肢の検討
a.できるだけ早く休息をとらせる。正しい。切迫した自殺リスクに対して安全な環境で休ませ、継続監視と緊急治療につなげる。
b.現在の職場を辞めるように勧める。急性期の安全確保・治療を優先すべきで、重大な生活判断を急がせない。
c.自殺を計画したことをとがめる。非難や批判は苦痛を増し、支援的対応に反する。
d.自殺について触れないようにする。誤り。自殺念慮・計画を直接評価し、話し合うことは自殺を誘発しない。
e.治療が必要な病気であることを説明する。正しい。うつ病は治療可能な疾患であることを伝え、治療と支援につなげる。
覚えるポイント
遺書など具体的計画がある場合は切迫リスクとして扱い、独りにせず安全確保と緊急の専門治療を行う。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- mhGAP Intervention Guide for mental, neurological and substance use disorders in non-specialized health settings: Version 2.0
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。