第106回医師国家試験 I54(2012年)
正答:a
問題
61歳の女性。嚥下困難を主訴に来院した。5日前から水を飲み込みにくい感じがあり、徐々に増悪してきた。嚥下困難の原因検索のため入院となった。血液検査、上部消化管内視鏡検査、頸部CT及び胸部CTに異常を認めなかった。入院後4日、患者は口を開けられないと訴えた。身体診察で胸鎖乳突筋の筋緊張亢進を認める。
考えられるのはどれか。
a.破傷風
b.多発性筋炎
c.重症筋無力症
d.多発性硬化症
e.Guillain-Barré症候群
正答の理由
嚥下困難に続く開口障害(牙関緊急)と頸部筋硬直の進行は、破傷風毒素による抑制性神経伝達の障害に合います。
各選択肢の検討
a.破傷風。正しい。嚥下困難に続いて開口障害と胸鎖乳突筋の筋緊張亢進が現れるのは、咬筋などの筋硬直を生じる破傷風に合います。
b.多発性筋炎。多発性筋炎は近位筋優位の筋力低下が中心で、急な開口障害・筋硬直は典型的ではありません。
c.重症筋無力症。重症筋無力症は易疲労性の眼筋・球麻痺症状を生じますが、筋緊張亢進や開口障害は通常説明しません。
d.多発性硬化症。多発性硬化症では中枢神経系の多巣性脱髄による神経症状を来しますが、本例の進行する咽頭・頸部筋硬直とは合いません。
e.Guillain-Barré症候群。Guillain-Barré症候群は進行性筋力低下・腱反射低下を主とし、開口障害や筋硬直を呈する病態ではありません。
覚えるポイント
開口障害・嚥下困難・筋硬直の進行は破傷風の重要な臨床像である。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。