中毒性表皮壊死症(TEN)|第106回医師国家試験I40

第106回医師国家試験 I40(2012年)

正答:a

問題

68歳の女性。粘膜部のびらんと全身の発疹とを主訴に来院した。5日前、風邪症状に対して市販の総合感冒薬を内服した。2日間内服を続けたところ、3日前から結膜充血と口腔内びらんとに加えて、顔面、体幹および四肢に紅斑とびらんとが出現した。初診時、全身の80 %に紅斑が見られ、こすると容易にびらんを形成した。顔面の写真(別冊No. 6A)と、背部の紅斑をこすって生じたびらんの写真(別冊No. 6B)とを別に示す。

診断として考えられるのはどれか。

a.中毒性表皮壊死剝離症〈TEN〉

b.結節性紅斑

c.膿疱性乾癬

d.扁平苔癬

e.固定薬疹

別冊No.6Aの顔面写真。顔面に広範なびらん・痂皮を認める。
別冊No.6A / 出典:厚生労働省・第106回I別冊(原本の該当ページ)
別冊No.6Bの背部写真。皮膚をこすった部位に表皮剝離・びらんを認める。
別冊No.6B / 出典:厚生労働省・第106回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

薬剤内服後の粘膜びらん、広範な紅斑と摩擦で容易に生じる表皮剝離から、選択肢中ではTENが最も考えられます。原文の80%は紅斑範囲で、剝離面積とは明記されていません。SJS/TENの厳密な分類には剝離面積の評価が必要です。

画像の見方

顔面に広範なびらん・痂皮があり、背部写真では摩擦部位に表皮剝離が生じている。

各選択肢の検討

a.中毒性表皮壊死剝離症〈TEN〉。正しい。薬剤曝露後の複数粘膜障害と広範な表皮剝離はSJS/TENに合致します。原文の80%は紅斑範囲で剝離面積そのものとは明記されていませんが、全身に広がる剝離性病変からTENが最も考えられます。

b.結節性紅斑。下腿前面などに圧痛を伴う皮下結節を生じる病態で、広範な表皮剝離や粘膜びらんを説明しません。

c.膿疱性乾癬。無菌性膿疱を伴う紅斑性皮疹が特徴で、薬剤後の粘膜びらんと表皮剝離主体の像とは異なります。

d.扁平苔癬。紫紅色の扁平丘疹などを呈する慢性炎症性疾患で、急性の広範な表皮剝離とは合いません。

e.固定薬疹。同一部位に再発する境界明瞭な紅斑・水疱が典型です。汎発性水疱性固定薬疹がSJS/TENに似る場合もありますが、本例のびまん性紅斑、著明な粘膜障害、容易な表皮剝離からは選択肢中TENが最も考えられます。

覚えるポイント

SJS/TENは表皮剝離面積で分類し、30%超はTEN。紅斑範囲と剝離面積を混同しない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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