敗血症による多臓器機能障害の発症機序|第106回医師国家試験G38

第106回医師国家試験 G38(2012年)

正答:a・b

問題

敗血症による多臓器機能障害の発生に関与するのはどれか。2つ選べ。

a.腫瘍壊死因子〈TNF〉

b.エンドトキシン

c.ハプトグロビン

d.クリオグロブリン

e.von Willebrand因子

正答の理由

敗血症では、グラム陰性菌の外膜成分であるエンドトキシン(リポ多糖、LPS)などの菌体成分がToll様受容体4などを介して自然免疫を活性化し、TNFやIL-1などの炎症性サイトカインが過剰に産生されます。これらのサイトカインは好中球と血管内皮の接着、凝固系の活性化、微小血栓形成、血管拡張を引き起こし、組織灌流が障害されて多臓器機能障害に至ります。ハプトグロビンやクリオグロブリンはこの経路の主役ではありません。

各選択肢の検討

a.正しい。TNFはIL-1とともに敗血症の初期に産生される代表的な炎症性メディエーターで、内皮障害・凝固活性化・微小血栓形成を介して臓器障害を起こします。

b.正しい。エンドトキシン(LPS)はグラム陰性菌の外膜成分で、TLR4などを介して炎症と凝固のカスケードを始動させる強力な起因物質です。

c.誤り。ハプトグロビンは血漿中で遊離ヘモグロビンと結合する蛋白で、溶血の評価(血管内溶血で低下)に用いられます。多臓器障害を引き起こす因子ではありません。

d.誤り。クリオグロブリンは低温で沈殿する免疫グロブリンで、C型肝炎などに伴うクリオグロブリン血症性血管炎(免疫複合体性小血管炎)の原因となるものであり、敗血症の臓器障害の機序ではありません。

e.誤り(公式正答では選ばない)。von Willebrand因子は血小板粘着を担う血管内皮由来の糖蛋白で、敗血症では内皮活性化の結果として血中で増加し、近年はADAMTS-13低下とともに微小血栓形成への関与や予後マーカーとしても研究されています。ただし病態を始動させる中心的メディエーターはエンドトキシンとTNFなどのサイトカインであり、出題時の正答もa・bです。

覚えるポイント

敗血症の多臓器障害は「エンドトキシン(LPS)→TNF・IL-1などのサイトカイン→内皮障害・凝固活性化・微小血栓」で起こる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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