第106回医師国家試験 E23(2012年)
正答:a
問題
2型糖尿病の食事療法について誤っているのはどれか。
a.食物繊維は指示エネルギーに含まれる。
b.脂質は指示エネルギー量の25%以内とする。
c.炭水化物は指示エネルギー量の60%以内とする。
d.蛋白質は標準体重(kg)当たり1.2 g/日以内とする。
e.総摂取エネルギー量は標準体重×生活活動強度で求める。
正答の理由
出題当時(2012年前後)の日本糖尿病学会の標準的な指示は、総エネルギー量=標準体重×身体活動量(生活活動強度)で決め、炭水化物を指示エネルギーの50〜60%、蛋白質を標準体重1 kg当たり1.0〜1.2 g、残りを脂質(25%以下)とするものでした(学会の2013年提言がこの従来指示を整理しています)。食物繊維は消化酵素で分解されない難消化性炭水化物で、腸内発酵で得られる有効エネルギーは0〜2 kcal/gと一定しません。エネルギー源となる三大栄養素の配分には入れず、学会提言でも炭水化物の量にかかわらず別に20 g/日以上の摂取を促すとされる成分なので、aが誤りです(当時の糖尿病治療ガイド本文は未確認で、この扱いは提言と食事摂取基準からの説明です)。なお現行の診療ガイドライン(2019・2024)では目標体重を基準とし、総エネルギー摂取量は年齢・病態・身体活動量に応じて個別化する考え方に変わっています。
各選択肢の検討
a.食物繊維は指示エネルギーに含まれる。誤り(正答)。食物繊維は有効エネルギーがほとんどない難消化性成分で、指示エネルギーを配分する三大栄養素の計算には含めず、不足しないよう別に摂取を促します。
b.脂質は指示エネルギー量の25%以内とする。正しい。わが国では脂肪エネルギー比率の上限として25%が一般に採用されてきました。
c.炭水化物は指示エネルギー量の60%以内とする。正しい。当時の推奨は50〜60%で、上限60%の記述は指示と合っています。
d.蛋白質は標準体重(kg)当たり1.2 g/日以内とする。正しい。糖尿病治療ガイドの指示は標準体重1 kg当たり1.0〜1.2 g(50〜80 g/日)です。
e.総摂取エネルギー量は標準体重×生活活動強度で求める。正しい。標準体重(身長(m)²×22)に身体活動量(軽労作25〜30、普通の労作30〜35、重い労作35〜 kcal/kg標準体重)を掛けて算出しました(現行の指針は目標体重を基準に個別化)。
覚えるポイント
当時の糖尿病食:標準体重×身体活動量、炭水化物50〜60%、蛋白質1.0〜1.2 g/kg、脂質25%以下。食物繊維はエネルギー配分の外で別に十分量とる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- 日本糖尿病学会:日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言(2013年)
- 厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版)各論 1-4 炭水化物
- 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2024 第3章 食事療法
- 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター):糖尿病の食事のはなし(基本編)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。