Hirschsprung病の診断|第106回医師国家試験D55

第106回医師国家試験 D55(2012年)

正答:a・e

問題

生後 4 日の新生児。在胎 40 週、2,960 g で出生した。生後 24 時間は胎便排泄がなかったため、グリセリン浣腸を行ったところ、暗緑色の胎便が排出された。その後、移行便の排泄がなく、次第に腹部が膨隆してきた。昨日から胆汁性の嘔吐を認めるようになった。腹部エックス線写真(別冊 No. 24)を別に示す。

診断に有用なのはどれか。2 つ選べ。

a.注腸造影

b.直腸鏡検査

c.腹部超音波検査

d.上部消化管造影

e.直腸肛門内圧検査

新生児の腹部エックス線写真。腹部は膨隆し、腹部全体に拡張した腸管ガス像が多数みられる
別冊No. 24 / 出典:厚生労働省・第106回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

正期産の新生児で、生後24時間以内の胎便排泄がなく浣腸で初めて胎便が出て、その後も排便がなく腹部膨満が進行し、胆汁性嘔吐を伴います。腹部エックス線で腹部全体に拡張腸管ガスが多数みられ、下部腸管の機能的通過障害を示し、Hirschsprung病(腸管壁内神経節細胞の先天的欠如)を最も考えます。診断には、前処置なしの注腸造影で狭小な無神経節腸管と口側の拡張腸管の移行帯(caliber change)を確認すること、直腸肛門内圧検査で直腸拡張時の内肛門括約筋弛緩反射の欠如を確認することが有用で、確定診断は直腸粘膜生検です(腸炎合併を疑う場合は穿孔の危険から注腸造影を避けます)。

画像の見方

腹部は全体に膨隆し、小腸・結腸と思われる拡張した腸管ガス像が腹部全体に多数みられる(右側腹部に大きく拡張したループ)。遊離ガスや石灰化はみられない。下部(遠位)腸管の通過障害を示唆する。

各選択肢の検討

a.正しい。注腸造影で無神経節の狭小部と口側拡張部の移行帯を描出でき、病変範囲の推定にも役立ちます。

b.誤り。直腸鏡検査では粘膜面を観察できますが、神経節細胞の欠如による機能的狭窄は肉眼で診断できません(確定に必要なのは直腸粘膜生検です)。

c.誤り。腹部超音波検査では腸管拡張や腹水はわかりますが、無神経節腸管や移行帯の診断には有用ではありません。

d.誤り。上部消化管造影は胆汁性嘔吐の原因として腸回転異常症・中腸軸捻転を疑う場合の検査です。本例は胎便排泄遅延と腹部全体の腸管拡張から下部腸管の通過障害が考えられます。

e.正しい。直腸肛門内圧検査では、直腸をバルーンで拡張しても内肛門括約筋が弛緩しない(直腸肛門反射の欠如)ことが示され、Hirschsprung病を強く示唆します。

覚えるポイント

胎便排泄遅延+腹部膨満+胆汁性嘔吐の新生児はHirschsprung病を考え、注腸造影(移行帯)と直腸肛門内圧検査(反射欠如)、確定は直腸粘膜生検。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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