Parkinson病の治療薬|第106回医師国家試験D53

第106回医師国家試験 D53(2012年)

正答:c・e

問題

72 歳の男性。手のふるえと動きにくさとを主訴に来院した。1 年前から左手がふるえるようになった。2 か月前から歩行が不安定になり、歩幅が狭くなったという。顔面筋の動きに乏しい。安静状態で左手が規則的にふるえる。四肢に強い筋強剛があり、特に左側で顕著である。筋力に異常を認めない。感覚障害を認めない。腱反射に異常はなく、病的反射を認めない。

治療薬として適切なのはどれか。2 つ選べ。

a.バルプロ酸

b.スルピリド

c.エンタカポン

d.ハロペリドール

e.レボドパ〈L-dopa〉

正答の理由

高齢男性で、片側(左)から始まった安静時振戦、左優位の筋強剛、仮面様顔貌、小刻み歩行・歩行不安定があり、筋力・感覚・腱反射は正常で病的反射もないことから、Parkinson病と考えます。治療の中心はドパミンを補充するレボドパ(通常は末梢性脱炭酸酵素阻害薬との合剤)で、高齢者では初期からレボドパが選ばれやすい状況です。エンタカポンは末梢でレボドパの分解を担うCOMTを阻害し、レボドパの効果を延長させる薬で、レボドパと併用する形で用います(単独では効果がありません)。

各選択肢の検討

a.誤り。バルプロ酸は抗てんかん薬・気分安定薬で、Parkinson病の運動症状を改善せず、むしろ薬剤性振戦の原因になることがあります。

b.誤り。スルピリドはドパミンD2受容体遮断作用をもつベンズアミド系の抗精神病薬・抗潰瘍薬で、同系統のメトクロプラミドなどと同様に薬剤性パーキンソニズムの原因となり、症状を悪化させます。

c.正しい。エンタカポンはCOMT阻害薬で、レボドパと併用して末梢での分解を抑え、効果の持続を延ばします(単独では使いません)。

d.誤り。ハロペリドールは強力なD2受容体遮断薬(定型抗精神病薬)で、パーキンソニズムを悪化させるため避けるべき薬です。

e.正しい。レボドパは脳内で不足したドパミンを補う最も有効な治療薬で、Parkinson病治療の中心です。

覚えるポイント

安静時振戦・筋強剛・無動・姿勢歩行障害はParkinson病。レボドパが中心で、COMT阻害薬(エンタカポン)はレボドパと併用。D2遮断薬は悪化させる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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