水疱性類天疱瘡の診断|第106回医師国家試験D51

第106回医師国家試験 D51(2012年)

正答:c

問題

60 歳の女性。全身の皮疹を主訴に来院した。3 か月前から、特に誘因なく全身に痒みを伴う紅斑と水疱とが多発するようになったという。体幹と四肢とに紅斑と水疱とを認める。粘膜疹を認めない。皮膚生検の病理組織では表皮下水疱を認め、蛍光抗体直接法で表皮基底膜部に IgG と C3 との線状沈着を認める。食塩水処理皮膚を用いた蛍光抗体間接法で表皮側に IgG の陽性反応を認める。両前腕屈側の写真(別冊 No. 21)を別に示す。

診断として最も考えられるのはどれか。

a.疱疹状皮膚炎

b.尋常性天疱瘡

c.水疱性類天疱瘡

d.後天性表皮水疱症

e.家族性良性慢性天疱瘡

両前腕屈側の写真。浮腫性の紅斑を背景に、黄色調の内容をもつ緊満性水疱が多発し、びらん・痂皮も散在する
別冊No. 21 / 出典:厚生労働省・第106回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

60歳の女性に、瘙痒を伴う紅斑と緊満性水疱が全身に多発し、粘膜疹はありません。病理で表皮下水疱、蛍光抗体直接法で基底膜部にIgGとC3の線状沈着があり、自己免疫性の表皮下水疱症です。さらに食塩水(1 M NaCl)処理皮膚を用いた間接法でIgGが人工水疱の表皮側(水疱蓋)に結合しており、表皮側のヘミデスモソーム抗原(BP180・BP230)に対する抗体を示します。高齢者・瘙痒・紅斑上の緊満性水疱という臨床像と合わせ、水疱性類天疱瘡と診断します。

画像の見方

両前腕屈側から手関節部にかけて、びまん性・浮腫性の紅斑を背景に、径数mm〜1 cm程度の緊満性水疱(内容は淡黄色〜血性)が多発する。破れた水疱によるびらんや痂皮も混在する。

各選択肢の検討

a.誤り。疱疹状皮膚炎はセリアック病に伴い、真皮乳頭にIgAが顆粒状に沈着するのが特徴で、IgGとC3の線状沈着とは異なります。

b.誤り。尋常性天疱瘡はデスモグレインに対する抗体による表皮内水疱で、表皮細胞間にIgGが沈着し、口腔などの粘膜疹を高率に伴います。

c.正しい。表皮下水疱、基底膜部のIgG・C3線状沈着、食塩水処理皮膚で表皮側に反応するIgGは、BP180/BP230に対する抗体による水疱性類天疱瘡に合致します。

d.誤り。後天性表皮水疱症も表皮下水疱と基底膜部の線状沈着を示しますが、抗原はⅦ型コラーゲンで、食塩水処理皮膚では真皮側(水疱底)に反応します。

e.誤り。家族性良性慢性天疱瘡(Hailey-Hailey病)は常染色体優性遺伝の遺伝性疾患で、ATP2C1遺伝子変異による間擦部の再発性びらんと表皮基底層上の棘融解を示し、蛍光抗体直接法は陰性です。

覚えるポイント

表皮下水疱+基底膜部IgG・C3線状沈着で、食塩水処理皮膚の表皮側に反応すれば水疱性類天疱瘡、真皮側なら後天性表皮水疱症。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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