耳下腺腫瘍(多形腺腫)のMRI診断|第106回医師国家試験D49

第106回医師国家試験 D49(2012年)

正答:d

問題

32 歳の女性。右頸部の腫瘤を主訴に来院した。10 年前から腫瘤に気付いていた。腫瘤は徐々に増大傾向にあるという。腫瘤の表面は平滑、可動性良好で、圧痛を認めない。顔面神経麻痺を認めない。頭頸部 MRI の T1 強調軸位断像(別冊 No. 20)を別に示す。

診断として最も考えられるのはどれか。

a.側頸囊胞

b.顎下腺腫瘍

c.甲状腺腫瘍

d.耳下腺腫瘍

e.正中頸囊胞

頭頸部MRIのT1強調軸位断像(上咽頭〜上位頸椎レベル)。右耳介の前下方、下顎枝の後方の耳下腺部に境界明瞭な卵円形の低信号腫瘤がある
別冊No. 20 / 出典:厚生労働省・第106回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

若年女性で、10年来ゆっくり増大する表面平滑・可動性良好・無痛性の腫瘤です。MRIでは右耳介前下方、下顎枝の後外側にある耳下腺の内部に境界明瞭な卵円形腫瘤を認め、耳下腺腫瘍と診断できます。唾液腺腫瘍の約8割は耳下腺に発生し、その多くは良性で、最も多いのは多形腺腫です。顔面神経麻痺がないことも良性腫瘍に合います(悪性では顔面神経麻痺や急速な増大、疼痛を伴いやすい)。

画像の見方

上咽頭〜上位頸椎(環軸椎)レベルの軸位断で、右耳介の前方・下顎枝の後外側に位置する耳下腺の領域に、境界明瞭で辺縁平滑な卵円形の腫瘤があり、高信号の脂肪を含む耳下腺実質に比べ均一な低信号を示す。周囲への浸潤はみられない。左側の耳下腺部には腫瘤を認めない。

各選択肢の検討

a.誤り。側頸囊胞は胸鎖乳突筋前縁の上〜中1/3付近に生じる囊胞で、耳下腺の内部には生じず、MRIでは内容液を反映した信号を示します。

b.誤り。顎下腺は下顎骨体の内下方(顎下三角)にあり、本例の腫瘤は下顎枝の後外側・耳介前下方の耳下腺部に位置します。

c.誤り。甲状腺は前頸部下方の気管周囲にあり、この断面(上咽頭〜上位頸椎レベル)には含まれません。

d.正しい。耳介前下方の耳下腺内に境界明瞭な腫瘤があり、緩徐増大・可動性良好・顔面神経麻痺なしから良性の耳下腺腫瘍(多形腺腫など)が最も考えられます。

e.誤り。正中頸囊胞は甲状舌管の遺残で前頸部正中(舌骨付近)に生じ、嚥下や舌の突出で上下に動くのが特徴です。本例は外側の病変です。

覚えるポイント

耳介前下方の緩徐増大する無痛性・可動性腫瘤は耳下腺腫瘍(最多は多形腺腫)。顔面神経麻痺・急速増大・疼痛は悪性を疑う。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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