第106回医師国家試験 D23(2012年)
正答:c
問題
60歳の女性。健康診断の胸部エックス線写真で異常を指摘され来院した。自覚症状はない。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。身長153 cm、体重55 kg。体温36.8 ℃。脈拍60/分、整。血圧118/64 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球380万、Hb 13.2 g/dl、Ht 33%、白血球5,600、血小板23万。CRP 0.3 mg/dl。胸部エックス線写真(別冊No. 7A)と胸部単純CT(別冊No. 7B)とを別に示す。
診断のために行うべき検査として最も有用なのはどれか。
a.喀痰培養
b.肺動脈造影
c.経気管支肺生検
d.腫瘍マーカー測定
e.ポジトロンエミッション断層撮影〈PET〉


正答の理由
無症状・炎症反応陰性の非喫煙女性で、胸部エックス線写真では右上肺野に結節影、CTでは右上葉に辺縁不整でスピキュラを伴い内部に小さな含気像をもつ結節がみられます。非喫煙者で最も多い肺腺癌が強く疑われます。肺癌は画像で疑い、生検による組織診断で確定するため、経気管支肺生検が最も有用です。
画像の見方
A:右上肺野の縦隔寄りに結節影がある。B:右上葉にスピキュラを伴う不整形の結節があり、内部に小さな気腔(含気像)を含む。
各選択肢の検討
a.誤り。発熱や咳嗽・喀痰がなくCRPも0.3 mg/dlで、感染症を疑う所見に乏しいです。喀痰培養は病原体を調べる検査で、腫瘍の組織診断にはなりません。
b.誤り。肺動脈造影は肺塞栓症や肺動静脈奇形の評価に用いる検査で、スピキュラを伴う充実性結節の質的診断には役立ちません。
c.正しい。肺癌の診断は画像で疑い、組織生検で確定します。末梢病変には気管支鏡下の経気管支肺生検(届かない場合はCTガイド下経皮生検)で組織を採取し、組織型や遺伝子変異の評価も行えます。
d.誤り。腫瘍マーカーは肺癌の確定診断に用いる検査ではありません。肺癌は画像で疑い、細胞・組織の病理学的検査で確定するため、その代わりにはなりません。
e.誤り。PET-CTは病期診断や生検部位の決定を補助しますが、炎症性病変と悪性病変の両方に集積しうるため、それだけでは診断を確定できません。
覚えるポイント
スピキュラを伴う末梢肺結節は肺癌を疑い、組織生検(経気管支肺生検など)で確定する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。