腹膜透析(CAPD)の特徴|第106回医師国家試験D2

第106回医師国家試験 D2(2012年)

正答:c

問題

腎不全患者の治療中の写真(別冊No. 1)を別に示す。

この治療法について正しいのはどれか。

a.塩分制限を必要としない。

b.週 3 回の通院が必要である。

c.合併症として腸閉塞がある。

d.導入患者数は著しく増加している。

e.治療液のカリウム濃度は 5.0 mEq/l である。

椅子に座った男性の腹部から出たカテーテルにチューブが接続され、点滴台に吊るされた透析液バッグ(表示1.5)から液が流れている。足元に排液用バッグ、台上に機器が置かれている。顔はマスクと黒塗りで隠されている。
別冊No. 1 / 出典:厚生労働省・第106回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

写真は腹膜カテーテルを介して透析液を腹腔へ出し入れする腹膜透析(CAPD)のバッグ交換場面です。長期の腹膜透析では腹膜が劣化・肥厚して腸管を被膜で包み込む被嚢性腹膜硬化症(EPS)が起こり、持続的・反復性のイレウス(腸閉塞)症状を呈するため、cが正しい記述です。

画像の見方

腹部(臍周囲)から出たカテーテルに、点滴台に吊るした透析液バッグと足元の排液バッグをつないでバッグ交換を行っている写真で、連続携行式腹膜透析(CAPD)のバッグ交換と判断されます。台上の機器の名称は写真からは特定できません。

各選択肢の検討

a.塩分制限を必要としない。誤り。腹膜透析でも食塩はPD除水量(L)×7.5+尿量(L)×5 g/日が目安とされ、体液過剰や高血圧を防ぐため塩分制限が必要です。

b.週 3 回の通院が必要である。誤り。週3回の通院で行うのは施設血液透析です。腹膜透析は患者自身が自宅などで毎日バッグ交換を行い、通院は定期受診のみです。

c.合併症として腸閉塞がある。正しい。被嚢性腹膜硬化症は「び漫性に肥厚した腹膜の広範な癒着により、持続的、間欠的あるいは反復性にイレウス症状を呈する症候群」と定義され、腹膜透析の重篤な合併症です(そのほか腹膜炎・出口部感染なども重要)。

d.導入患者数は著しく増加している。誤り。日本透析医学会の統計では腹膜透析患者は2010年末9,728人(3.3%)、2011年末9,626人(3.2%)と横ばい〜微減で、慢性透析患者全体の3%程度にとどまり、著しい増加はみられていません(出題当時の統計)。

e.治療液のカリウム濃度は 5.0 mEq/l である。誤り。腹膜透析液はカリウムを含みません(例:ニコペリックの電解質はNa・Ca・Mg・Cl・乳酸)。透析液へKが持続的に除去されるため、腹膜透析患者のカリウム摂取は原則制限なしとされ、高カリウム血症がある場合にのみ血液透析と同様に制限します。

覚えるポイント

腹膜透析=自宅で毎日・K無添加の透析液・食塩制限は必要・長期合併症に被嚢性腹膜硬化症(腸閉塞)。週3回通院は血液透析。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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