心肺停止時のアドレナリン投与経路|第106回医師国家試験C2

第106回医師国家試験 C2(2012年)

正答:c

問題

心肺停止患者へのアドレナリン投与経路で最も適切なのはどれか。

a.皮下

b.筋肉内

c.静脈内

d.心腔内

e.気管内

正答の理由

心停止中は胸骨圧迫で生じるわずかな血流しかないため、薬剤は確実に中心循環へ届く経路で投与します。出題当時のAHA 2010ガイドラインでも、薬剤投与は静脈路(IV)か骨髄路(IO)が望ましく、気管内投与はIV/IOが確保できないときの代替とされていました。成人ではアドレナリン1 mgを静脈内に投与して3〜5分ごとに反復し、末梢静脈から投与した後は20 mLの輸液でフラッシュして中心循環へ送り込みます。

各選択肢の検討

a.皮下。誤り。心停止中は末梢組織の血流がほぼ途絶えているため、皮下からはほとんど吸収されず、効果発現も予測できません。

b.筋肉内。誤り。筋肉内注射はアナフィラキシーでの第一選択ですが、循環が保たれていることが前提です。心停止では吸収が期待できません。

c.静脈内。正しい。蘇生ガイドラインは静脈路を第一選択とし、確保が難しいときは骨髄路を代替とします。成人では1 mgを3〜5分ごとに投与します。

d.心腔内。誤り。胸骨圧迫の中断が必要なうえ、冠動脈・肺の損傷や気胸、心タンポナーデの危険があります。かつては試みられましたが、現在は行われていません。

e.気管内。誤り(最適ではない)。AHA 2010ガイドラインでは、IV/IOが確保できない場合に限りアドレナリンを気管内投与してよい(通常はIV用量の2〜2.5倍)とされていました。しかし血中濃度が低く効果が予測しにくいためIV/IOが優先され、2015年以降のAHAガイドラインからは削除されています。

覚えるポイント

心停止時の薬剤投与は静脈路(第一選択)→骨髄路(代替)。気管内は2010年当時IV/IO不能時の代替で、現在は推奨されない。心腔内は行わない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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