第106回医師国家試験 B61(2012年)
正答:d
問題
乳幼児の身体診察の一般的な順序として正しいのはどれか。
a.頭頸部 → 胸部 → 腹部
b.頭頸部 → 腹部 → 胸部
c.胸部 → 頭頸部 → 腹部
d.胸部 → 腹部 → 頭頸部
e.腹部 → 胸部 → 頭頸部
f.腹部 → 頭頸部 → 胸部
正答の理由
乳幼児の診察は、MSDマニュアル(新生児の診察)でも「まず心臓と肺を児が静かなうちに診察し、続いて系統的に頭から足へ」とされるように、泣かせないうちに必要な情報を得るため、苦痛の少ない手技から始めて苦痛を伴う手技を最後に回すのが原則です。まず児が静かなうちに胸部の聴診(心音・呼吸音)を行い、次に腹部の視診・触診(泣くと腹壁が緊張して触診できなくなる)を行い、舌圧子を使う咽頭や耳鏡による耳の診察など嫌がりやすい頭頸部の診察は最後に行います。
各選択肢の検討
a.頭頸部 → 胸部 → 腹部。誤り。成人の頭から足への順序ですが、最初に咽頭・耳などを診ると泣いてしまい、その後の聴診と腹部触診が困難になります。
b.頭頸部 → 腹部 → 胸部。誤り。頭頸部の診察で泣かせた後では、腹壁は緊張し、呼吸音や心雑音も聴き取れなくなります。
c.胸部 → 頭頸部 → 腹部。誤り。聴診を最初に行う点はよいですが、頭頸部で泣かせると腹部の触診が不正確になります。
d.胸部 → 腹部 → 頭頸部。正しい。静かなうちに聴診、次に腹部触診、苦痛を伴う咽頭・耳の診察を最後に行う一般的な順序です。
e.腹部 → 胸部 → 頭頸部。誤り。腹部の触診で児が泣き出すことがあり、泣くと呼吸音・心音の聴診が難しくなるため、聴診を先に済ませます。
f.腹部 → 頭頸部 → 胸部。誤り。泣かせやすい手技の後に聴診を回しており、静かな状態での聴診という原則に反します。
覚えるポイント
乳幼児は泣かせる前に胸部を聴診し、次に腹部を触診、咽頭・耳など嫌がる頭頸部の診察は最後に行う。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- UTMB Pediatrics (Murray and Richardson): Physical Exam of the Newborn
- Ali Fadhil. Physical examination (lecture notes), University of Babylon
- MSD Manual Professional Edition: Physical Examination of the Newborn
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。