第106回医師国家試験 B4(2012年)
正答:e
問題
関節構成組織で、損傷によって部分的欠損が生じた場合に自然修復〈内因性修復〉が起こらないのはどれか。
a.骨
b.滑膜
c.靱帯
d.関節包
e.関節軟骨
正答の理由
関節軟骨(硝子軟骨)は血管・リンパ管・神経を欠き、軟骨細胞の増殖能も乏しいため、内因性の治癒・修復能がきわめて限られています。部分的な欠損は自然には元の硝子軟骨で修復されず、変形性関節症へ進む原因になります。骨・滑膜・靱帯・関節包は血流があり、程度の差はあっても自然治癒します。
各選択肢の検討
a.骨。誤り。骨折は炎症期・修復期・リモデリング期を経て自然に治癒し、微小損傷も安静で自己修復されます。
b.滑膜。誤り。滑膜は血流に富み再生能が高い組織で、化学的滑膜切除後も壊死に続いて再生が起こります(そのため再発が問題になります)。
c.靱帯。誤り。靱帯・腱の部分断裂の多くは自然に治癒します。完全断裂では手術を要することがありますが、部分的欠損の修復能はあります。
d.関節包。誤り。関節包は血管を含む線維性組織で治癒能があり、股関節鏡での関節包切開・縫合後には大部分の例で連続性が回復します。
e.関節軟骨。正しい(これが正答)。無血管で軟骨細胞の複製能も限られるため、内因性の治癒・修復能が限られています。
覚えるポイント
関節軟骨は無血管・無神経で、自然修復がほとんど起こらない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- The Basic Science of Articular Cartilage: Structure, Composition, and Function (Sports Health 2009)
- MSD Manual Professional Edition: Overview of Fractures
- MSD Manual Professional Edition: Overview of Sprains and Other Soft-Tissue Injuries
- Radiation Synovectomy: An Enticing Treatment Option for Inflammatory Joint Pain (PMC12092159)
- Healing of joint capsule after hip arthroscopy using interportal capsulotomy and capsular closure influences clinical outcomes (J Orthop Surg Res 2022)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。