中顔面(上顎)骨折の症状|第106回医師国家試験A57

第106回医師国家試験 A57(2012年)

正答:c・e

問題

18 歳の女子。オートバイを運転中に転倒したため搬入された。意識は清明。頭部に外傷はないが、鼻出血を認める。顔面骨 3D-CT(別冊 No. 28A)と頭部単純 CT(別冊 No. 28B)とを別に示す。

この患者の症状として考えられるのはどれか。2 つ選べ。

a.複視

b.左眼球突出

c.咬合障害

d.左顔面神経麻痺

e.左頰部知覚障害

顔面骨3D-CT正面像。歯列の上方で上顎骨を横断する骨折線と上顎前面の骨折があり、画像の向かって右側では頰骨から上顎に及ぶ骨折線がみられる
別冊No.28A / 出典:厚生労働省・第106回A別冊(原本の該当ページ)
頭部単純CT横断像(骨条件)。眼窩・副鼻腔・側頭骨の高さの断面
別冊No.28B / 出典:厚生労働省・第106回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

3D-CTでは歯列の上方で上顎骨を横断する骨折線と上顎前面の骨折があり、画像の向かって右側(患者の左側)では頰骨・眼窩下縁付近から上顎に及ぶ骨折線がみられます。上顎の歯槽部を含む骨折では上顎歯列が偏位して咬合障害が生じ、患者左側の眼窩下部から上顎前面を走る眼窩下神経が損傷されると左頰部の知覚障害が生じます。頭部単純CTでは眼窩内容の突出や側頭骨の異常は指摘しにくく、公式正答は咬合障害と左頰部知覚障害です。

画像の見方

3D-CTで上顎骨を横断する骨折と上顎前面の多発骨折を認め、画像の向かって右側(患者左側)では頰骨・眼窩下縁付近から上顎に及ぶ骨折線がある。頭部単純CTでは眼球の明らかな突出や側頭骨の明らかな骨折は指摘しにくい。

各選択肢の検討

a.誤り。複視は眼窩壁骨折による外眼筋の絞扼などで起こりますが、本例の画像では眼窩内容の偏位や絞扼を示す所見は示されておらず、公式正答では選ばれていません。

b.誤り。眼球突出は球後血腫などで起こりますが、頭部単純CTで左眼球の突出や球後の占拠性病変はみられません。

c.正しい。上顎の歯槽部を含む骨折では上顎歯列が偏位し、外傷後の咬合不正(咬合障害)を生じます。

d.誤り。顔面神経は側頭骨内から耳下腺部を走行しており、上顎を中心とする中顔面骨折では通常障害されません。

e.正しい。左側の骨折線が眼窩下縁から上顎前面に及び、眼窩下神経の損傷により左頰部の知覚障害(感覚低下)を生じます。

覚えるポイント

上顎骨折では咬合障害、眼窩下神経の走行部の骨折では頰部の知覚障害が生じる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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