進行性核上性麻痺の頸部・体幹の筋強剛|第106回医師国家試験A52

第106回医師国家試験 A52(2012年)

正答:d

問題

70 歳の女性。しばしば転ぶようになったことを主訴に来院した。1 年前から、椅子から立ち上がったり車の後部座席から降りたりする際に尻もちをつくようになり、次第にその頻度が増加した。1 か月前からしばしばむせるようになった。意識は清明。眼球運動は上下方向が制限されており、特に下方視で制限が著しい。入院後の患者の写真(別冊 No. 25)を別に示す。

この疾患で認められるのはどれか。

a.静止時振戦

b.腱反射の消失

c.線維束性収縮

d.頸筋の筋緊張亢進

e.筋緊張の著明な左右差

患者の立位側面の写真。体幹をまっすぐ伸ばし、頸部をやや後屈させた姿勢で立っている(顔は黒塗り)
別冊No.25 / 出典:厚生労働省・第106回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

初期から後方へ転倒しやすく(尻もちをつく)、嚥下障害が加わり、垂直方向、特に下方視の核上性眼球運動障害を伴うことから進行性核上性麻痺(PSP)です。写真では体幹と頸部がまっすぐ伸び、頸部はやや後屈した姿勢で立っています。PSPでは四肢よりも頸部・体幹に強い筋強剛(体軸性の筋強剛・ジストニア)がみられ、頸部の後屈を伴うことが特徴です。

画像の見方

立位側面像で体幹は前屈せずまっすぐ伸び、頸部はやや後屈した姿勢をとっている。

各選択肢の検討

a.誤り。静止時振戦はパーキンソン病に典型的で、典型的なPSPでは目立ちません(パーキンソン病に似た亜型では手足の震えがみられることもあります)。

b.誤り。PSPは大脳基底核・脳幹などの中枢神経変性疾患で、末梢神経障害による腱反射の消失はみられません。

c.誤り。線維束性収縮は筋萎縮性側索硬化症などの下位運動ニューロン障害の徴候で、PSPではみられません。

d.正しい。PSPでは頸部・体幹優位の筋強剛(体軸性ジストニア)が特徴で、頸部の後屈した姿勢をとりやすくなります。

e.誤り。典型的なPSPでは体軸(頸部・体幹)優位の筋強剛が特徴で、筋緊張の著明な左右差は目立ちません。難病情報センターは、症状の左右差や振戦を伴いパーキンソン病に似た経過をとる亜型や、大脳皮質基底核症候群に類似する亜型を非典型例として挙げています。

覚えるポイント

PSPは易転倒(後方)、下方視障害、嚥下障害、頸部・体幹優位の筋強剛(頸部後屈)が特徴。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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