潰瘍性大腸炎に合併した壊疽性膿皮症|第106回医師国家試験A49

第106回医師国家試験 A49(2012年)

正答:e

問題

45 歳の女性。左下腿の皮疹を主訴に来院した。1 か月前に左下腿に紅斑が生じ、急速に拡大してきたという。30 歳時に潰瘍性大腸炎と診断され、自宅近くの診療所でメサラジンの内服治療を受けている。意識は清明。身長 158 cm、体重 52 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 76/分、整。血圧 134/80 mmHg。呼吸数 16/分。左下腿に巨大な潰瘍を認める。潰瘍面の細菌培養は陰性である。左下腿の写真(別冊 No. 23)を別に示す。

診断として最も考えられるのはどれか。

a.蜂巣炎

b.環状肉芽腫

c.基底細胞癌

d.壊死性筋膜炎

e.壊疽性膿皮症

左下腿の写真。辺縁が暗紫色の不整形の潰瘍があり、潰瘍底は赤色で顆粒状を呈する
別冊No.23 / 出典:厚生労働省・第106回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

潰瘍性大腸炎の患者の下腿に、紅斑から始まって1か月で急速に拡大した巨大な潰瘍があり、細菌培養は陰性で発熱などの全身の感染徴候もありません。写真では下腿に辺縁が暗紫色で、潰瘍底が赤色の肉芽様を呈する不整形の潰瘍がみられます。炎症性腸疾患などの全身疾患に合併しやすい好中球性皮膚症である壊疽性膿皮症が最も考えられます。デブリードマンなどの外科的刺激で拡大する(パセルギー)ため、治療は創傷管理と副腎皮質ステロイドなどの抗炎症療法が中心です。

画像の見方

下腿前面に、辺縁が暗紫色で堤防状の不整形潰瘍を認め、潰瘍底は赤色顆粒状である。

各選択肢の検討

a.誤り。蜂巣炎は境界が不明瞭な紅斑・腫脹・熱感・圧痛を呈する細菌感染症で、本例のような培養陰性の巨大な潰瘍の像ではありません。

b.誤り。環状肉芽腫は足背・下腿・手・指などに丘疹や局面が環状に広がる良性の慢性疾患で、通常は無症状であり、急速に拡大する潰瘍にはなりません。

c.誤り。基底細胞癌は光沢のある丘疹・結節として始まり、数か月〜年単位でゆっくり増大する腫瘍で(結節型は顔面など日光露光部に多い)、1か月で急速に拡大する巨大潰瘍とは経過が合いません。

d.誤り。壊死性軟部組織感染症(壊死性筋膜炎)は急速に進展し、高熱・頻脈・意識変容・低血圧など全身状態が重篤となる細菌感染症です。本例はバイタルサインが安定し、潰瘍面の培養も陰性です。

e.正しい。潰瘍性大腸炎に合併し、下腿に好発して急速に拡大する、辺縁が暗紫色で掘れた無菌性の潰瘍は壊疽性膿皮症の典型です。

覚えるポイント

炎症性腸疾患患者の下腿に急速拡大する培養陰性の潰瘍は壊疽性膿皮症を考え、デブリードマンは避ける。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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