抗リン脂質抗体症候群(子宮内胎児死亡と深部静脈血栓症)|第106回医師国家試験A40

第106回医師国家試験 A40(2012年)

正答:d

問題

32歳の女性。既婚。挙児希望を主訴に来院した。30歳時の初回妊娠で、24週ころから羊水量が減少し、26週で子宮内胎児死亡となった。児体重は330 g、女児であり、外表奇形を認めなかった。分娩後に下肢静脈血栓症の治療を受けたという。

次回妊娠のための検査として最も必要性が高いのはどれか。

a.子宮卵管造影

b.血中TSH測定

c.夫婦の染色体検査

d.抗リン脂質抗体測定

e.血中プロゲステロン測定

正答の理由

妊娠中期の羊水減少と高度の胎児発育不全(26週で330 g)を伴う原因不明の子宮内胎児死亡(妊娠10週以降、外表奇形なし)と、分娩後の下肢静脈血栓症があります。胎盤の血栓・循環不全による妊娠合併症と静脈血栓症の組み合わせは抗リン脂質抗体症候群を強く疑わせます。ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗β2グリコプロテインⅠ抗体を測定し(12週以上あけて持続陽性を確認)、診断されれば次回妊娠では低用量アスピリンとヘパリンによる管理を行います。

各選択肢の検討

a.誤り。子宮卵管造影は卵管の通過性や子宮の形態異常(中隔子宮など)を調べる検査で、反復流産の評価に含まれることはありますが、静脈血栓症を伴う妊娠中期の胎児死亡の原因として最も疑うべき病態を調べる検査ではありません。

b.誤り。甲状腺機能異常も流産・死産の危険因子でTSHは死産の原因検索に含まれますが、静脈血栓症と胎児死亡をまとめて説明する抗リン脂質抗体症候群の検査の方が優先されます。

c.誤り。夫婦の染色体検査(均衡型転座など)は反復流産の評価で行う検査です。本例は1回の妊娠中期の胎児死亡で外表奇形もなく、静脈血栓症を伴っています。

d.正しい。原因不明の妊娠10週以降の胎児死亡と静脈血栓症は抗リン脂質抗体症候群の臨床基準にあたり、抗リン脂質抗体の測定が最も必要です。

e.誤り。血中プロゲステロン測定は黄体機能不全を評価する検査ですが、黄体機能不全が独立した不妊・流産の原因であることは証明されておらず、妊娠中期の胎児死亡と血栓症の原因検索にはなりません。

覚えるポイント

原因不明の妊娠10週以降の胎児死亡や反復流産+動静脈血栓症→抗リン脂質抗体症候群。抗体は12週以上の間隔で持続陽性を確認。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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