第106回医師国家試験 A26(2012年)
正答:d
問題
25歳の男性。ランニング中に自覚した右膝の痛みを主訴に来院した。右膝関節内側に腫脹を認める。右膝正面エックス線写真(別冊No. 4A)と病変部の生検組織のH-E染色標本(別冊No. 4B)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。
a.抗悪性腫瘍薬の投与
b.放射線治療
c.大腿切断術
d.病巣搔爬・骨移植術
e.病巣広範切除・人工関節置換術


正答の理由
20歳代で、大腿骨遠位の骨端部(関節面直下)に硬化縁の乏しい偏在性の溶骨性病変があり、組織では単核の間質細胞の中に多数の破骨細胞型多核巨細胞が散在しています。骨巨細胞腫です。組織学的には良性ですが局所侵襲性が強く再発しやすいため、標準治療は徹底した病巣搔爬に補助療法を加え、骨移植(または骨セメント)で欠損を充填する手術です。
画像の見方
No. 4Aでは大腿骨遠位の骨端部、関節面直下に偏在する境界不明瞭な溶骨性の透亮像があり、辺縁の骨硬化像や骨膜反応は目立たない。脛骨・腓骨に異常はみられない。No. 4Bでは類円形〜紡錘形の単核細胞がびまん性に増生し、その間に核を多数もつ破骨細胞型の多核巨細胞が多く散在し、出血を伴う。
各選択肢の検討
a.誤り。骨巨細胞腫は組織学的に良性の腫瘍で、殺細胞性の抗悪性腫瘍薬は標準治療ではありません(切除困難例にはRANKL抗体デノスマブが用いられます)。
b.誤り。放射線治療は二次性悪性化の危険があり、手術で到達できない脊椎病変などに限られます。膝周囲の切除可能な病変には行いません。
c.誤り。大腿切断は悪性骨腫瘍で患肢温存ができない場合の手術で、良性の骨巨細胞腫に対しては過大な侵襲です。
d.正しい。病巣の徹底的な掻爬と骨移植(または骨セメント充填)が、関節を温存できる骨巨細胞腫の標準的治療です。
e.誤り。広範切除と人工関節置換は、腫瘍が大きく関節面が破壊された場合などに限られます。本例は関節面が保たれており、まず掻爬・骨移植を選びます。
覚えるポイント
若年成人の長管骨骨端部の偏在性溶骨性病変+多核巨細胞→骨巨細胞腫。治療は病巣搔爬+補助療法+骨移植/骨セメント、再発しやすい。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。