第106回医師国家試験 A16(2012年)
正答:b・d
問題
胸部単純 CT(別冊No. 1)を別に示す。
この患者の肺機能検査所見として考えられるのはどれか。2つ選べ。
a.A-aDO₂ 正常
b.拡散能低下
c.残気量増加
d.肺活量低下
e.1秒率低下

正答の理由
CTは胸膜直下優位の蜂巣肺で、特発性肺線維症などの線維化性間質性肺炎を考えます。肺が硬くなる(コンプライアンス低下)ため拘束性換気障害となり、肺活量・全肺気量・残気量はいずれも低下し、1秒率は正常〜むしろ上昇します。肺胞壁の肥厚・肺毛細血管床の減少によりDLCO(拡散能)が低下し、労作時から低酸素血症をきたしてA-aDO₂は開大します。
画像の見方
心臓レベルの横断像で、両肺下葉の胸膜直下を中心に、厚い壁を共有して数層に積み重なる大小の嚢胞(蜂巣肺)と網状影があり、左下葉でとくに高度です。右肺前方には隔壁で区切られた大きめの透亮域もみられます。胸膜直下優位の蜂巣肺から、通常型間質性肺炎(特発性肺線維症)パターンの線維化を考えます。患者情報や診断名は問題文に示されておらず、画像からの読影です。
各選択肢の検討
a.A-aDO₂ 正常。誤り。拡散障害と換気血流比不均等により低酸素血症をきたし、A-aDO₂は開大します。
b.拡散能低下。正しい。DLCO低下は特発性肺線維症のほぼ全例にみられ、診断を支持する所見です。
c.残気量増加。誤り。残気量増加は閉塞性障害(肺気腫など)の所見で、拘束性障害では残気量・全肺気量とも低下します。
d.肺活量低下。正しい。肺の線維化でコンプライアンスが低下し、肺活量(FVC)が低下します。
e.1秒率低下。誤り。1秒率低下は閉塞性障害の所見です。拘束性障害では弾性収縮力の増大で気道が広げられ、1秒率は正常〜上昇します。
覚えるポイント
蜂巣肺(肺線維症)は拘束性障害:肺活量・残気量・全肺気量↓、1秒率は正常〜↑、DLCO↓、A-aDO₂開大。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF)
- MSD Manual Professional Edition: Airflow, Lung Volumes, and Flow-Volume Loop
- MSD Manual Professional Edition: Measurement of Gas Exchange
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。