第106回医師国家試験 A9(2012年)
正答:d
問題
ステロイド抵抗性の重症潰瘍性大腸炎への対応で適切なのはどれか。
a.アメーバ赤痢の治療を追加する。
b.注腸二重造影で全大腸を観察する。
c.モルヒネの投与で腸管の安静を図る。
d.サイトメガロウイルスの検索を行う。
e.非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉を投与する。
正答の理由
免疫抑制治療中の重症潰瘍性大腸炎ではサイトメガロウイルス(CMV)の再活性化が多く、CMV腸炎の合併は増悪・ステロイド抵抗性の原因となり、抗ウイルス治療で結腸切除を減らせることがあります。ステロイド抵抗性・依存性の症例ではCMVの検索(生検組織の免疫染色・PCR、血中アンチゲネミアなど)を行い、陽性なら治療を検討します。
各選択肢の検討
a.アメーバ赤痢の治療を追加する。誤り。アメーバ赤痢は診断時に便検査・血清・生検で除外すべき鑑別疾患ですが、根拠なく経験的に治療を追加する対応は適切ではありません。
b.注腸二重造影で全大腸を観察する。誤り。重症例では穿孔の危険があるため注腸造影は避け、評価は慎重なS状結腸鏡程度にとどめます。
c.モルヒネの投与で腸管の安静を図る。誤り。オピオイドや抗コリン性止痢薬は中毒性巨大結腸症を誘発しうるため、重症潰瘍性大腸炎では避けます。
d.サイトメガロウイルスの検索を行う。正しい。ステロイド抵抗性の重症例ではCMV再活性化を検索し、CMV腸炎(とC. difficile感染)を除外または治療します。
e.非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉を投与する。誤り。NSAIDsは炎症性腸疾患を増悪させうる薬で、重症例への投与は不適切です。
覚えるポイント
ステロイド抵抗性の重症潰瘍性大腸炎ではCMV腸炎の合併を検索し、注腸造影・オピオイド・NSAIDsは避ける。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Ulcerative Colitis
- Park SC, et al. Approach to cytomegalovirus infections in patients with ulcerative colitis. Korean J Intern Med. 2017(抄録)
- MSD Manual Professional Edition: Overview of Inflammatory Bowel Disease
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。