第105回医師国家試験 G64(2011年)
正答:d
問題
15歳の女子。いらいらして暴力を振るうことを心配した母親に伴われて来院した。
現病歴:中学2年になり、友人関係でトラブルが起こったころから食欲がなくなり、学校を休みがちになった。自分の部屋でいやな友人の顔が浮かぶと、そのときしていた行為を最初からやり直すようになった。不潔になったことを気にして頻回に手を洗うようになった。その後も学校では普通の生活を送っていたが、家では自分だけでなく母親に同じ言葉や行動を繰り返させ、母親が正確にやり直せないとパニックを起こしたり、暴力を振るったりするようになった。
生育歴:3歳時に両親が離婚し、母親と弟との3人暮らし。小学校では成績も優秀で友人も多く、何事にも積極的な性格であった。中学で進学校に入学し、学業とスポーツに打ち込んでいた。
現症:意識は清明。身長156cm、体重49 kg。体温36.2°C。呼吸数16/分。
脈拍72/分、整。血圧98/60mmHg。皮膚は冷たく乾燥している。手が荒れている。
検査所見:尿・血液検査所見に異常を認めない。
治療的アプローチとして最も適切なのはどれか。
a.生活技能訓練(SST)
b.母親による患者の行動の受容
c.児童相談所への相談
d.認知行動療法
e.デイケア
正答の理由
強迫症の症状に対する心理療法として、曝露反応妨害を含む認知行動療法が適切である。家族が強迫行為に応じて反復を支えるだけでは症状を維持しうる。
各選択肢の検討
a.生活技能訓練(SST) SSTは対人技能の獲得を目的に用いられ、強迫症の症状に対する主要な心理療法ではない。
b.母親による患者の行動の受容家族が強迫行為に合わせるだけでは症状を維持しうるため、適切な治療的介入にはならない。
c.児童相談所への相談児童相談所は虐待や養育上の問題等の相談機関であり、本例の強迫症治療の第一選択ではない。
d.認知行動療法正しい。曝露反応妨害を含む認知行動療法は強迫症の有効な心理療法で、家族の関与も含めて行う。
e.デイケアデイケアは生活リズムや社会参加を支える治療だが、本例の強迫症に対する第一選択の症状特異的介入ではない。
覚えるポイント
強迫症の症状に対する心理療法として、曝露反応妨害を含む認知行動療法が適切である。家族が強迫行為に応じて反復を支えるだけでは症状を維持しうる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- Recommendations: Obsessive-compulsive disorder and body dysmorphic disorder: treatment
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。