第105回医師国家試験 G50(2011年)
正答:b
問題
47歳の女性。突然の頭痛が繰り返し起こることを訴えて来院した。6か月前から排便時に頭痛と発汗とが出現し、10分くらいの安静で改善するという発作が数日に1回起こるようになった。家族に勧められて、発作時に血圧を測定したところ206/116 mmHgで、発作が治まってから測定すると116/76 mmHgであったという。身長156 cm、体重48 kg。脈拍96/分、整。血圧196/110 mmHg。顔面は蒼白で、前胸部に発汗がみられる。四肢末端は冷たい。甲状腺の腫脹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部に異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。神経学的所見に異常を認めない。血液生化学所見:空腹時血糖122 mg/dl、尿素窒素14 mg/dl、クレアチニン0.7 mg/dl、Na 141 mEq/l、K 4.0 mEq/l、Cl 98 mEq/l。
診断に最も有用なのはどれか。
a.TRH負荷試験
b.尿中カテコラミン測定
c.デキサメタゾン抑制試験
d.血漿アルドステロン測定
e.血漿レニン活性(PRA)測定
正答の理由
公式正答はb。発作性の頭痛・発汗・著明な血圧上昇と発作間欠期の血圧正常化は褐色細胞腫を疑う。提示肢では尿中カテコラミン測定が最も有用である。現在は尿・血漿分画メタネフリン測定の方が診断精度に優れるため、出題当時の選択肢と現行の第一選択検査を区別する。
各選択肢の検討
a.誤り。TRH負荷試験は甲状腺刺激ホルモンなどの分泌反応を評価する検査で、発作性高血圧の原因検索ではない。
b.正しい。カテコラミン過剰産生を調べる尿中カテコラミン測定が、選択肢中では褐色細胞腫の診断に最も有用である。現行指針では尿中分画メタネフリンや血漿遊離分画メタネフリンの診断精度が高いことも示されている。
c.誤り。デキサメタゾン抑制試験はクッシング症候群の評価に用いる。
d.誤り。血漿アルドステロン測定は原発性アルドステロン症の評価に用いる。
e.誤り。PRAはレニン・アルドステロン系の評価に用い、褐色細胞腫の直接的な検査ではない。
覚えるポイント
褐色細胞腫では頭痛・発汗・動悸と発作性高血圧が手掛かり。提示肢では尿中カテコラミン測定を選び、現在は分画メタネフリン測定の診断精度が優れることも押さえる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- Japan Endocrine Society Clinical Practice Guideline for the Diagnosis and Management of Pheochromocytoma and Paraganglioma 2025
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。