第105回医師国家試験 G24(2011年)
正答:e
問題
腎生検PAM染色標本(別冊No. 4)を別に示す。
患者の病歴として最も合致するのはどれか。
a.扁桃炎罹患2週後に乏尿となった男児
b.全身浮腫が数日の経過で出現した20歳台の男性
c.発熱、関節痛、顔面の紅斑および浮腫が出現した20歳台の女性
d.糖尿病腎症の治療中に浮腫が出現し増悪した60歳台の女性
e.浮腫と腎機能低下とが数か月で進行した70歳台の男性

正答の理由
公式正答はe。PAM染色ではBowman腔の細胞増殖が糸球体係蹄を取り囲み、係蹄を圧排する半月体形成を認める。これは急速進行性糸球体腎炎を示唆し、数週~数か月で腎機能が悪化するeの経過が最も合う。ANCA関連腎炎などが鑑別に挙がるが、この光顕像だけで原因疾患までは確定できない。
画像の見方
Bowman腔の細胞増殖が糸球体係蹄を取り囲み圧排する半月体形成を認める。
各選択肢の検討
a.扁桃炎罹患2週後に乏尿となった男児。感染後急性糸球体腎炎を示唆する。重症例では半月体形成を伴い得るが、一般には管内増殖性病変が中心で、提示された広範な半月体と数か月の進行を示すeが最も合う。
b.全身浮腫が数日の経過で出現した20歳台の男性。微小変化型ネフローゼ症候群を考える経過で、光顕で明瞭な半月体を示す本像とは異なる。
c.発熱、関節痛、顔面の紅斑および浮腫が出現した20歳台の女性。ループス腎炎を示唆し、重症例では半月体を来すこともある。ただし本像のみからループス腎炎を特定する所見はなく、提示所見とeの急速な腎機能低下が最も直接対応する。
d.糖尿病腎症の治療中に浮腫が出現し増悪した60歳台の女性。糖尿病性腎症の典型はメサンギウム基質の増加や結節性硬化で、Bowman腔を占める半月体形成とは異なる。
e.浮腫と腎機能低下とが数か月で進行した70歳台の男性。数週~数か月の腎機能低下は急速進行性糸球体腎炎の経過であり、提示された半月体形成と一致する。
覚えるポイント
Bowman腔の半月体形成は、数週~数か月で腎機能が悪化する急速進行性糸球体腎炎を考える手掛かり。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。