第105回医師国家試験 D35(2011年)
正答:d
問題
15歳の男子。不登校を心配した母親に伴われて来院した。10歳時に急に首を傾けたり、顔をしかめたり、咳払いや「オッ」という声を発作的に発したりするようになった。自分では制御できずに卑猥な言葉も発するようになった。緊張すると顔しかめや発声の発作が増えるため、学校では奇異な目で見られ、いじめられた。2年前から欠席が目立ち始め、1か月前から不登校となった。身体所見に異常を認めない。尿、血液および血液生化学所見に異常を認めない。頭部CTと脳波とに異常を認めない。
治療薬として適切なのはどれか。
a.L-dopa。
b.炭酸リチウム。
c.パロキセチン。
d.ハロペリドール。
e.メチルフェニデート。
正答の理由
複数の運動チックと音声チックが1年以上続き、汚言も認めるためTourette症候群である。選択肢中ではハロペリドールがチックを抑える。
各選択肢の検討
a.L-dopa。誤り。ドパミン前駆体であり、本例の運動・音声チックに対して選ぶ標準的な治療薬ではない。
b.炭酸リチウム。誤り。双極性障害などの気分症状に用いる薬で、運動・音声チックの標準的治療薬ではない。
c.パロキセチン。誤り。選択的セロトニン再取り込み阻害薬で、うつ病・不安症などに用いるが、チックそのものを抑える薬ではない。
d.ハロペリドール。正しい。持続する運動チックと音声チックが1年以上あり、Tourette症候群を考える。ハロペリドールはドパミンD2受容体遮断作用をもつ抗精神病薬で、チックを軽減し得る。
e.メチルフェニデート。誤り。注意欠如・多動症に用いる中枢刺激薬で、チック障害の治療薬として選ばない。 ただし併存する注意欠如・多動症への使用まで一律に禁忌という意味ではない。
覚えるポイント
2011年の設問ではハロペリドールが正答。現在の治療は機能障害・併存症を評価し、行動療法や他の薬剤も含めて個別化する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- Practice Parameter for the Assessment and Treatment of Children and Adolescents With Tic Disorders – AACAP
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。